(1)むずかしい金融論はさておいて、日銀が国債を買い支えてどこが問題かといえば国の借金財政がどんどん膨らむことだ。現在国と地方の財政赤字は1200兆円といわれて、近い将来何もしなければ2000兆円に膨らむという試算もある。
(2)国の借金はいつかは返済しなければならず、時々の将来次世代の国民負担増となり、毎年の利息分は支払わなければデフォルト(default)として国家財政が破たんを迎える。もうひとつ日銀は国債買い入れをマイナス金利で支えて政府の国債の利息は軽微で済んでいるが、安倍元首相が日銀は政府の子会社と言った姿だ
(3)世界の主要国の中央銀行は物価高騰、インフレ対策のために金利を上げており、ひとりマイナス金利の日銀の日本は円の評価、人気低落で急激な円安で国内経済は物価高騰に見舞われている。
リフレ派の黒田総裁が就任以来主張してきた物価上昇2%達成は9年目にしてようやく達成したが、世界的な石油高騰に急激な円安による物価高騰でこれに賃上げがともなわない「悪い値上げ」といわれて、黒田総裁としても喜べない目標達成だ。
(4)日銀の金融政策は政策決定会合(政策委員会)で審議委員の多数決で決められる。安倍元首相がアベノミクスの大胆な金融緩和策実施のために当時少数派のリフレ派黒田東彦氏を日銀総裁に起用し、日銀審議委員もリフレ派で固めて市場にこれまでの2倍のカネを供給する大胆な金融緩和策を実施してきた。
円安株高効果を生んだが大企業、富裕層優遇政策で、安倍元首相も大企業の利益が地方、国民に回る経済効果を述べたが、賃上げが物価高騰で帳消しになり国民には利益は回らなかった。
(5)日銀の政策決定会合といいながら政府、日銀の金融政策に近い審議委員を揃えて方針に沿った金融政策を決めるわけだから、方針が前提の決定会合だ。リフレ派の黒田総裁、若田部副総裁の任期は来年の春までで、今回の日銀新審議委員には岸田首相は大胆な金融緩和策に批判的な人物を起用して(報道)来年春以降の日銀金融政策変更(大胆な金融緩和策出口論)の布石ともみられている。
(6)安倍元首相から公然と日銀は政府の子会社といわれて日銀の独自性、独立性に疑問が持たれる中で、国民生活、財産にも大きな影響力を持つ日銀の政策決定会合体制が政府の審議委員の起用ひとつで方向性が決まるというのもおかしな話だ。
(7)日銀は政府の子会社でないなら、政府の国債を大量に買い支えて政府の借金財政を支えて国民負担を増やす、押し付けるだけの金融政策は見直さなければならずに、財政健全化に向けて公正で公平、責任判断が求められる。