いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

伏魔殿の不気味さ。 uncanny a pandemonium

2022-07-06 20:43:14 | 日記
 (1)自民党憲法改正草案には自衛隊を国防軍とすると記されている。名称だけの問題なのか、戦力として専守防衛論を超えて軍隊化を目指すものなのか、徴兵制の問題も出たことがあった。
 防衛省内部の背広組(事務方)と制服組(自衛官)の確執もあって、勢力図は近年は制服組の組織力、発言力が強まって防衛大臣の方針にも影響力を持ってきているとの報道もあった。

 (2)防衛省や自衛隊が何を考え、どう行動しようとしているのか、安全保障上の機密事項が多くほとんど外部に出てくることがない伏魔殿化(pandemonium)している。岸田首相が今年日本で開催されたインド太平洋クアッド首脳会議で来日したバイデン大統領に防衛力強化、防衛費増額を表明したことを受けて、与野党で意見が分かれてそのまま参院選の争点にもなっている。

 (3)これに関して海上自衛隊呉地方監察部の伊藤総監が記者会見で「個人的な感想」と前置きした上で「(増額を)もろ手を挙げて無条件に喜べるかというと、全くそういう気持ちにはなれない」(報道)と述べて「我々が新たに特別扱いを受けられるほど日本の経済状況が良くなっているのだろうか」(同)と疑問を投げかけた。

 (4)自民党には安倍元首相がEU並みに防衛費のGDP2%増額を求めるなど、防衛費増額の意向が強い。これに対して現職海上自衛隊総監が「異議」を唱えたもので、「個人的な感想」と言っても制服組高官の発言とあっては前述のように制服組の発言力が強まっているなかでは大きな影響力がある。

 (5)早速、防衛省背広組報道官が「事実関係について確認が必要だ」(報道)として、岸田首相の防衛費増額発言の裏付けとなる予算を確保していく方針を強調した。自衛隊の指揮命令系統に影響力を持つ制服組高官が「個人的な感想」といっても本人の「考え」であることには変わりがなく良識的な判断だとはいえ、岸田首相、政府方針に反する発言をすることは防衛省、自衛隊のシビリアンコントロールに問題が派生することは考えらる。

 (6)自衛隊内部にこうまで自由な発言が許されるということは民主的組織といっていいのかどうか、しかし防衛は国、国民の安全、権利、財産、生命を守る重要任務であり、政府、防衛省、自衛隊間で認識、理解、行動が共有できないとなると意見、考えの正当性とは別に国民の不安、不信は大きい。

 (7)作家三島由紀夫が自衛隊存在の憲法改正を目指して自衛隊決起をうながした(失敗自決)事件もあるように、外部からの干渉にもモロい組織力をみせることにもなり、政府、防衛省、自衛隊のシビリアンコントロールの不足、弱さは伏魔殿の不気味さ(uncanny a pandemonium)でもある。

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