いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

祖国の命運。 fortune of their motherland

2022-07-25 20:05:54 | 日記
 (1)報道取材で日本のウクライナ研究学者がゼレンスキー大統領の評価を聞かれて「苦笑しながら『ああいう人物に投票して大統領にすれば、戦争を起こすことになる』」趣旨の発言をしていた。本当の政治力、交渉力、判断力の必要性、不足を指摘したものだ。

 (2)祖国を守るということは国土、国民、財産、権利を守るということだが、ウクライナが直面しているのは露の圧倒的な軍事力に対抗してウクライナ軍が抗戦しているが劣勢はあきらかで数百万人が国外に避難して、露軍の攻撃を受けてアパート、病院、学校などインフラが次々と攻撃破壊されて民間人も多数死亡している。

 (3)露軍による民間人虐殺の形跡もあり、戦争犯罪として国際司法裁判所提訴に向けて証拠集めが伝えられている。ウクライナでは祖国を守ることが国土、国民、財産を守ることにつながっていない。

 ゼレンスキー大統領は連日SNS、オンラインを使って弁舌巧みに世界に窮状を訴え、露を非難して高い支持を集めているが、ウクライナはNATO加盟を目指し(それが露の軍事侵攻を招いたといわれている)しかしNATO国でもなく米、EUなどNATO諸国はウクライナに対して兵器、軍事物資の支援に限定して戦力は劣勢だ。

 (4)バイデン米大統領は露のウクライナ軍事侵攻を予期して、ゼレンスキー大統領に警戒を呼び掛けたがゼレンスキー大統領が聞く耳を持たなかったと証言している。露のウクライナ軍事侵攻後の停戦協議が行き詰まって現在は中断していることもあわせて、冒頭のウクライナ研究学者のゼレンスキー評価に通じるものがみられる。

 (5)露は侵攻当初ウクライナ北側からチェルノブイリ原発を占拠して近い首都キーウに迫り、両側から包囲戦略に出たがほどなくして包囲を解いて撤収して港湾都市など親露勢力の優勢な南部地域に部隊を結集して支配地域を広めている。

 (6)首都キーウ攻撃からの撤収については、報道ではウクライナ軍の抵抗が強かったことがあげられているが、露としては首都キーウを攻撃陥落してゼレンスキー大統領を拘束ないしは首都キーウから追放すればウクライナ侵攻は目的を達成できたはずだ。

 ここで露軍の兵力を多く失うリスクを回避して撤収して親露勢力の多い南部地域に戦力を展開してウクライナの実質支配地域を広げる方が得策と判断したのか、しかしあきらかに当初考えたウクライナ軍事支配より時間、労力を多く費やしてNATO軍の軍事介入はなく戦力は優勢にはあるが、首都キーウのゼレンスキー大統領の抵抗、発信は続いている。

 (7)パラドックス(paradox)として首都キーウが露により軍事支配されなかったことが結果として露のウクライナ軍事侵攻の及ぶ被害拡大、国民の犠牲の増加につながっている。国土を失い、国民に多くの犠牲者を出してウクライナ戦争は長期化して、祖国を守る命運(fortune of their motherland)はまだわからない。

 (8)ウクライナと露の停戦協議は停止されたままで、ゼレンスキー大統領の国土、国民、財産を守る本当の政治力、交渉力、判断力がためされている。冒頭、学者の言いたかったことではないのか。

 
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする