(1)今年の経済はどうなるのか。IMF分析では世界の3分の1が景気後退するといわれる中で、日本の成長率は米英仏独より高いと予想されている。コロナ規制が緩和されて海外からの訪日客、インバウンドが増えて景気を下支えするといわれるが、コロナゼロ政策の中国でのコロナ感染急拡大で日本でも訪日客の空港でのコロナ検査で一時待機による水際対策が実施されることになり訪日客に影響が出ることも考えられて、思わぬ誤算が景気回復にどう影響するのかわからない。
(2)景気回復には賃上げが必要だが、昨年末の日銀の利上げで輸出産業には悪影響も考えられて来年から実施されるともいわれる防衛費増額の法人税上乗せの増税を控えて企業が自己防衛に向かうことになれば、賃上げ効果も薄れることになる。
利上げは原材料高騰、物価高には抑制効果はあるが、増税、訪日客の水際対策と合わせて経済活動、賃上げ、景気回復にマイナス効果の要素となる。
(3)欧米の高いインフレが落ち着きウクライナ戦争でゼレンスキー大統領が露侵攻1年の2月に新提案をするのではないかの憶測もあり、停戦につながる機運が高まれば世界経済、景気が回復に向かう可能性はある。
ウクライナが米国から迎撃ミサイルのパトリオットの供与を受け、露は軍の再編成で立て直しをはかっているといわれる中では、まだその機運は見えてこない。
(4)経済、景気を推進するべき政治が増税で逆効果に出ているのは問題だ。岸田首相は新しい資本主義で資産所得倍増プラン、スタートアップ(起業支援)事業を推進する政策を打ち出しているが、効果は限定的で広いものにはならないだろう。
やはり成長と分配の好循環が実現しなければ岸田首相の評価は見直されない。
(5)かっての高度経済成長はもはや考えられずに安定不況時代に入ったといわれたもので、その後IT、AI革命時代が来て新産業革命を迎えて成長が見込めないこともない社会だ。IT、AI革命はかっての英国からの産業革命のように広く共有されるものではなく、知的財産権の独占により一部のIT巨大企業、IT事業者に利益が集中して独占事業となっており、社会の二極化、分断を招いており、世界に成長と分配の好循環は必要とされる時代ではあるが難問、課題は多い。