(1)4日から新年が動き出したが、寒波同様のお寒いニュースばかりが並ぶスタートとなった。従来新年は祝儀相場で株価が上昇するのが恒例だが、初相場の日経平均株価は377円安の大幅下落となった。昨年末の日銀の利上げにより金融緩和がさらに修正されるとの警戒感(報道)によるものだった。
(2)米国からは野党共和党が多数を占めた下院議長の選出で共和党が分裂して当選者(必要投票数獲得に達せず)が出ずに100年振りに再投票(現在6回目投票でも決まらず)となり法案審議もできない混迷だ。
アップルは株式時価が2兆ドルを割り1年間で1兆ドル減少(報道)した。昨年から米大手IT企業のほとんどが営業利益のマイナス成長となっており、今年の世界の景気後退をさらに印象づけるものとなった。
(3)締めは岸田首相の伊勢神宮参拝後の年頭記者会見で、物価上昇率を上回る賃上げを経済界に要請する景気のいい話とはならなかった。岸田首相の物価上昇率、インフレ率を上回る賃上げ要請は望むところだが他力本願で、長年積み残こされた課題に一つ一つ答えを出していくという岸田首相の新年の強い気構えがうかがえない、伝わらないものだ。伊勢神宮参拝の(新年の恒例行事)岸田政権の神頼みだ。
(4)防衛費増額の法人税上乗せ増税を決めて、物価上昇率を上回る賃上げ要請では経済界、企業としてもダブルパンチで、物価対策は政府の仕事と言いたいところだが企業としてもこの際何でもかんでも物価値上げのところもあり痛しかゆしのところはある。
(5)企業アンケートでも今年の景気拡大基調は56%と昨年の84%(報道)から大幅に低下しており、賃上げも「実施、前向き」36%に対して「未定」48%が上回っており、先行きが読めない状況だ。
それでもIMF分析で今年の日本の成長率は米英仏独を上回ると予測しており、経営者の中にはチャンスと捉える発言もあり、やはり景気回復には政治の安定が必要になってくる。
(6)岸田首相には国民主権国家として国民と責任、行動を共有する、国民とともにある政治の実現を目指してほしいものだ。新年早々からのお寒い話ばかりはパラドックス(paradox)として反転攻勢しかない上向き志向でもあり、前を向いてこれからの23年白紙社会(a blank paper society)にIMF予測成長を刻んでいく期待もある。
その自覚と責任と行動が政治、経済、社会、国民に必要だ。