(1)岸田首相は今しきりに日本は歴史の大転換期、分岐点にあると強調する。露によるウクライナ軍事侵攻が長引き、中国、露の権威主義、専制国家が台頭してこれまでの世界の秩序、規律のバランス基準を失っていることの危機感を示したもので、政策でもやらなければの気持ちが先行しているのかこれまでの聞く力、検討、検討型から肩に力が入り過ぎて岸田首相の独断専行型が目につき国民の不評が高まっている。
(2)今年の通常国会での施政方針演説でも冒頭からの「歴史の転換点」に続き「防衛力の抜本的強化」が並び、何やら戦時の風雲急を思わせるキナ臭い雰囲気がたたずんで、大型物価高の連発に苦しむ国民感情とは違う趣がある。
岸田内閣支持率が20%台で低迷しているギャップ要因を示すものでもある。岸田首相は「核のない世界」、軍縮を目指す政策理念をもっているといわれる。
(3)以下続いてその後にようやく持論理論の「新しい資本主義」が述べられて、岸田政権誕生によりそれまでの安倍元首相の大企業、富裕層優遇のアベノミクスからの転換の成長と分配の好循環社会、分厚い中間層を目指すと表明した持論理論が政権から1年が過ぎてまた強調されているという、これまで積極的に取り組んでこなかった重要政策の欠如だった。
(4)その後の「子ども、子育て政策」は岸田首相が最重要政策と位置づけて出生数減少が「我が国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況」だとして異次元の問題、課題だと指摘しているのだから、もっと前面に出ても良かった。
しかし、こちらも財源問題が解決しておらずに社会保険料の見直し(国民負担増)に言及した。
(5)一般会計歳出総額過去最大の114兆円規模の来年度予算案を計上しながら、重要政策の財源に工面しなければならないところに岸田政権の財政運営に問題があり、増税前に歳出、政策見直しが必要な施政方針内容だ。
(6)そして「災害対応、復興支援」につながるが、「責任を持って福島の復興、再生に取り組む」と言うが復興税上乗せ分を延長して防衛費増額に充てることを表明しており、防衛費増額、増税対応優先に都合よく使われては復興支援の取り組みがぼやけてみえる。
(7)岸田首相の理念、政策、主張に一貫性、堅持性がみられずに、その場しのぎの手っとり早い対応、手段、方法がら列されて、自らの理念、政策の整合性、妥当性が欠如していては国民の信頼は遠のくばかりだ。