(1)中国の当時の胡錦涛国家主席(前政権)が訪米してオバマ大統領と会談した際に主席として悩み事はあるのか尋ねられて、毎年2000万人の新規雇用数をつくり出さなければならないことだ(報道)と答えたといわれる。
共産党一党独裁支配国家中国の国家主席として全権力を握る独裁者でも、欧米日など資本主義国家と同じ労働、雇用問題の悩みがあることを知って意外な感じがした。
(2)中国習近平国家主席が異例の3期目を迎えて絶対権力体制を確立しているが、ゼロコロナ対策では行動、移動制限で国民、市民の不満がたまり習政権への批判が強まり各地で市民デモが拡大して、さすがの習政権もゼロコロナ政策を事実上見直して行動、移動緩和を容認する方針転換に出た。天安門事件での学生デモの強硬弾圧をみれば、中国の変化がみられる。
(3)しかし途端に中国国内のコロナ感染が爆発的に急増(報道)して、新年旧正月を迎えて中国観光客の海外渡航に対して日本は空港での中国からの入国者に対して入国時のコロナ検査を義務づけ一定期間待機させる水際対策を実施した。米国、韓国なども同じ水際対策に出ている。
(4)これに対して中国外務省報道官は「少数の国が科学的事実や流行の実態を無視し、中国に対する差別的な入国制限を実施している」(報道)として日本でのビザ発給停止の対抗措置を表明した。説明によくある自国利益優先の無理があり、中国の理解のできない正当防衛論でしかない。
中国政府としてもゼロコロナ政策の抗議デモで混乱して行動、移動制限を緩和しておいて、旧正月休みで今さら中国観光客が海外国に入国できない現状を認めることはできない国内事情があるのだろう。
(5)中国国内はゼロコロナ政策の見直しで爆発的なコロナ感染拡大が続いている(報道)とみられて、しかし一旦国民、市民の行動、移動制限を緩和しておいてまた不満の厳しく規制することなどできないことによるものだ。
冒頭例でも、意外と思える共産主義独裁国家の国家主席が、国民、市民を締め付ける、規制するだけではなく国民、市民の労働、雇用創出に苦心している姿が垣間見えて、それはまたゼロコロナ政策への抗議デモ頻発で行動、移動の自由を容認するという一面もみせて、それが習主席絶対支配体制の中で起きていることが中国の別の顔(another face)としてみえてくる。
(6)中国の経済成長を支える、促進するためのものではあるのかもしれないが、国家主席が毎年2000万人の雇用をつくり出す苦労は前政権時代のものであり、習主席絶対政権でもゼロコロナ政策の抗議デモで行動、移動制限が緩和されて見直されるとなると、これはここ10年、今の中国の別の顔ともいえて、中国対策にも参考になるものだ。