真夜中の情事。
「君とセックスがしたい」ってタイトルはめちゃくちゃ直球ですよね・・・
こんなにもどストレートなタイトルでいいのかってくらい(笑)直球過ぎて吹いたんですけど
中身はたらぞおさん印の真っ当なイチャラブものに仕上がっていて大満足でした。
前作の紹介文(ちなみに前作の感想も書いてます。たらぞおさんのカテゴリーから是非)でも思ったんですが
この方は恐らくはイチャラブ専門でそれを極めんとして奮闘している漫画家さんのように感じます
個人的にいつまで経っても田中ユタカ幻想があったりもするんですが、
丸っこい絵柄も加味してそんな幻想に応えてくれそうな新人作家さんだなあ・・・って考えたりもしています。
なんでしょうね、
前作と同じくやってるのはバカップルの日常を描いてるだけなんですけど
妙な迫力があるというか、無視出来ない魅力があるというか・・・
一切の小細工抜きで、
ただただ純粋に愛し合っている二人のイチャラブ模様をじっくりと描く、
そしてそれをお世話になれるレベルまで昇華している、、、という点で抜きん出た実力を持っている作家さんだと思います。
この手の作品で重要なのは、実は意外と男の子「も」可愛いと思えるセンスだったりするんですけど、
その点では直樹は初めての彼女に浮かれまくってる系男子・・・という事で
行動のいちいちが微笑ましいですし、
欲望まみれに見えて実は奥手な直樹を(必死に)リードしようとする志保ちゃんの健気さも素晴らしく可愛いんですよね。
この手の男子は彼女を傷付けまいとして、割と大胆な行動を取れないものなんですけど、だからこそ
恥ずかしさを押し殺しながら懸命にセックスアピールしてくる志保がとっても可愛く思える、、、という。
そう、タイトルの「君とセックスがしたい」っていうのは、
彼女(志保)の気持ちも代弁しているんですよね
つまりはダブルミーニングな訳で、
そういうトコも上手いなあ。って思うし
なんだかんだで似たもの同士だなあ。。って実直に思えて(笑)
ニヤニヤ度の半端ない作品に仕上がっていました。
兎角、ただ二人のセックスを眺めてるだけで「可愛いなあ」「微笑ましいなあ」って思える作品です
必死に誘いつつ、がっつかれるとちょっと困った反応を見せたり戸惑う志保は可愛いし、
イキ顔のエロさと描き込みの量も実に半端ない出来栄えに仕上がってます
大胆に絡み合う中にも、
純真な恥じらいがあり、
尚且つ、
きっちりと美しく蕩ける表情でも魅せる。。とデビュー2作目にして完璧な話運びを見せているな。と思います
パッと見、外見だけで考えれば物凄いやり手というか百戦錬磨っぽい志保が
実は物凄くウブで敏感な反応を見せる、って時点でグッと来ますし、
その割に身体はモノホンの官能を備えてるギャップもまたイイですね
心情の本音の部分は、
敢えてセリフやモノローグにはせずに、
表情と間、演出などで表現している粋な作風もみどころです
全部を説明せずに、読者の感性に委ねて「くれてる」信頼感がまた心地よくて、
そういった手さばきもまた自分好みでホントに素晴らしく思えるんだと感じます。
要所要所で、言葉にはせずとも直樹へのピュアな想いが伝わって来るのが読んでて最高なんですよね。
何より、前作今作と2球続けてど真ん中にストレートを投げ込んできたことを考えると、
この時点で早くも変化球を使わず「純愛」という直球だけで勝負するんだろうな。。って気持ちが伝わって来ましたね
とかいって、次作で変化球が来たら申し訳ないんですけど(笑
とにかく、快楽天という純愛重視ではない雑誌で、
ここまで純愛にこだわった作品作りをしているのはある意味レアリティあります
このスタイルのままどこまで高みに登れるのか、早くも大好きになりつつあるたらぞおさんの次回作にも期待しています。
また「丸っこい絵で尚且つ描き込みが細かい」って時点で絵柄にかなりのオリジナリティがあるというか
パッと見で「ああ、あの人か・・・」ってすぐ思える絵柄にも仕上がってますよね
幾花にいろさんといい、のきんさんといい、牛野缶詰さんといい
結構他誌(主に集英社)に引き抜かれたのに
矢継ぎ早に有望な新人が入って来るのは編集部の企業努力の賜物なのでは?と思います
取り合えず純愛好きで尚且つイチャラブセックスが観たい人はチェックしても損はないんじゃないですかね
そんな風に思います。前作でも思いましたけど、本当読んでて抱きしめたくなるクオリティですね。