サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

山田シロ彦最新作「早朝始発の殺風景」上下巻 感想

2023-01-10 | 山田シロ彦
表紙が繋がってるのが何とも素敵。。











「凛とチア。」「青年少女よ、春を貪れ。」の山田シロ彦先生による最新作。
ちなみに本作は青崎有吾氏による同名の小説を漫画化したもので、
(恐らく)原作付きの連載は初めてになると思われます
 で、
これが実にイイんですよね。。
原作が元々ある作品なのに、なんかどこを切ってもシロ彦さん節が漂ってる感じがします
それは、例えば青春の機微だったり、少年少女のロマンスの要素だったり、
色々とこじらせてる感じだったり、セクシャルマイノリティのエッセンスだったり・・・
否、
シロ彦さん節というのも合ってる気はするけど、
というよりも、
シロ彦さんにこの話が来たのがよく分かる・・・と言いますか、
シロ彦さんがコミカライズするにとっても適してる原作、、、
と表現すべきかもしれません。




上巻「早朝始発の殺風景」より。



それにしても、
改めて自分はこの方の作風好きだなあ。って感じました
まず、作画の繊細でありながらポップで、写実的でありながら漫画的でもある感じ・・・が好きですね
つまりは様々な観点から絶妙なラインを往ってる感覚があるんですよね
それと、
日常の些細な感情の動きを漫画にするのが凄く巧みな印象もあります
例えば、
「メロンソーダ・ファクトリー」の、
自信満々で友だちなら賛同してくれるだろう~と思ってた意見を、
気まずそうに否定された時の空気感の表現は素晴らしいものがありました
あれこそ、
青春のこじらせというか、
我々の日常・・・って感じはしますね(笑
ああいう日常を送ってる~という意味合いではなく、
上手く行かなかった時の感情が空気と共に動揺する感覚、、、ですね
それと、表題作でシリアスな会話の中にも時折覗かせる男性のどうしようもない性癖の露出・・・も、
すっげえ良かったし、
そう、
❝空気感❞を漫画に落とし込むのがやっぱりすごく上手い様に感じられるんですよね。
そういう中で紆余曲折ありながらも生きてるキャラには(表情含め)愛嬌があってとても愛おしく想える。
なんだろう、色々こじらせつつも、どのキャラにも根底にはピュアな想いが垣間見える感じ。
 勿論原作ありきの作品ですが、そういう意味では、
「山田シロ彦さんらしさ」もふんだんに出ている様な漫画に仕上がってるなぁ、と。
この絶妙にかゆいところに手が届くような作劇はシロ彦さんの武器になってくような気がします。
いちファンとしての勝手な願望でもありますが。。




下巻「夢の国には観覧車がない」より。



ストーリーに関して言えば、
基本的に推理(ミステリ)を軸として、
青春模様を舞台に据えた短編集~という感じですね
個人的に、
推理要素が強い作品も、
短編が連作で描かれるような作品も、
普段あまり読んでないのでそういう意味ではシンプルに新鮮で楽しかったです
俗に言うオムニバス連載・・・というヤツに属するんでしょうか
思えば、
最近は一人の主人公が居て~という漫画しか読んでなかったので、
こういう風に様々な主人公たちの物語を読むというのは中々斬新にも思えました
それは久々というのも加味されてたとは思いますけど、こういうのもアリだなとか感じましたね
様々な人間模様を味わえる感覚、、、が確かにありました
最後に、
すべての章の主人公たちが勢揃いして繋がる感じも素晴らしかったですし、
各々のエピソードの終わり方がどれもキッパリと終わってるところも読んでて好きでした
推理に関しては自分の頭の出来もあり中々明かされるまで結末を予想出来なかったのですが(笑
明かされてみると
「ああ、なるほど。」と純粋に思えるので、
上下巻と短いですが繰り返し読むのにも適した秀作に仕上がってるな~、と想いましたね。
読んでいて、各々のキャラを純粋に応援したくなる感じは本当シロ彦作品らしくて素敵でした。。









ちなみに、
一番好きなエピソードは「メロンソーダ・ファクトリー」ですね
なんでしょう、あのエピソードは本当❝思春期の集合体❞という印象で大好きです
なんというか、「他人と違うこと」を一生懸命考えてこそ一人前のこじらせ青春人間~だと言えますね笑
そんな山田シロ彦さんの2023年の新作にも期待しつつ、
本作も愛読していこう~って想いました
電子書籍も出てますけど、
個人的には並べた時に表紙が繋がる仕様&表紙自体の加工の手触りが良いコミックスがお勧めですね
カバー裏の仕様もお洒落で装丁にも気合が入ってるのでやっぱり自分は紙派です.....!!
単巻あたりのページ数が少な目なので良い具合に読みやすいのも良きでした。


「青年少女よ、春を貪れ。」最終5巻の描き下ろしと、一番好きなシーンに関して。

2022-04-20 | 山田シロ彦
シロ彦さんの単行本コンプリート中でございます。










この間まで感想を書いてた「青年少女よ、春を貪れ。」の5巻(最終巻)が発売された。
ちなみに青年少女の単行本に関しては大体ネットで買ったものが殆どで、
書店では1~2巻くらいしか買わなかった、というか、
❝買えなかった❞です
なんせ入荷数絞られてるのか?どこも置いてなかったので・・・
無事揃えられた今だからこそ書けますが、探してる時は結構しんどかったですね(笑
本当は自分が感想でちょっとでも盛り上げられれば良かったんですが、
そういうバズらせる力というか影響力のようなものが管理人には無かったです
そこは自分でもはっきりと認めないとね。
 でも、
認めただけであって、
別に諦めてる~という事も無いんで、
これからもファン活動に関しては地味でもコツコツやっていくつもりですけどね。


で、
本題の描き下ろしに関してなんですが、
これは結構どう感想を書こうか迷いますね・・・(笑
正直、
「おまけ」と称するにはあまりにもストーリーと密接に絡んでる内容だったし、
もっと言えばこれヤンジャン本誌オンリーの方が読まないままなのか、、、とか想うと勿体無い気持ちもある
けど、
だからこそ最後まで単行本を買うようなコアファンに向けての最大限のサービスだったんでしょうね
なので、こんな記事タイトルではありますけど、具体的な感想書きたくないまである笑😂

ただ。
以前ツイッターで最終話の手前の感想(第四十七話ね)を宣伝した時に、
青年少女の読者の方からとあるリプを頂戴したんですけど、
内容的に言えばその方が喜びそうな内容だったなあ・・・とは純粋に感じました
その方は別にフォロワーでも無いのでこの文章を読んでるかどうかは正直分からない
自分もた〇ご〇ごくらい有名なブロガーだったら読んでくれてたかもしれないですけどね🤣
 でも、なんか・・・
最初から読んでた様な方が読めば、
思わずニッコリというかほっこりしてしまうようなエピローグだったと思います
固有名詞出した時点で内容バレしそうなんで、敢えてボカしてますけど、
そうですね。。
いち青年少女ファンとしては、
「良かったね。」と言いたいですし、
あのラインを送った勇気を称賛したい気分になりました。
お互いの想いが純粋に届いている未来を願わずにはいられない素敵過ぎる描き下ろしでした。
シロ彦さん、改めて最後まで素敵な漫画をありがとうございました・・・!!
前作も最終巻に描き下ろしあったので、次回作にもそういうの期待ですね♬









最後に、この漫画で最も心に残ったシーンを紹介して終わります。





これは、
2巻の76ページからの引用ですが・・・・・
このシーンを初めてヤンジャンで見た時に、自分は思わず泣きました。
簡単に説明すれば、人から責められてる最中に、他人が自分の事を褒めてくれたのを聴いて、
それを受けてわゆちゃんというキャラクターが肩を震わせてるシーンなんですけど。
 なんかね、
人間性ってたった一面を切り取って理解や判断出来るものじゃないし、
やっぱり多面的にみるべきもんだと個人的には思う。
その個人的な主義にも合ってたし、
純粋に、
心が弱ってる最中にふと優しい言葉に触れて静かに泣いている、
そして、敢えて それを後ろ姿&肩で表現する~っていう手法含めて今でも大好きなシーンです。
このシーンを見た後に四十七話のわゆちゃんの現状見たらそれもそれでグッと来ちゃいますね・・・・・涙

最後に、
わゆちゃん、俺んとここないか←最後にこんなオチかよ(爆
シロ彦さんは本当にファン想いの作家さんなので、次に描く世界にも注目してゆきたいです。
仮に青年少女のファンの方が読んでたら、是非描き下ろしには触れて欲しいですね!



生きてれば。/青年少女よ、春を貪れ。 第四十八話(最終話)「未来」

2022-02-17 | 山田シロ彦









まあ、正直な話・・・
自分もこの先の人生生きてても本懐が叶わぬまま悔しい気持ちを抱えて死んで行くんだろうな。とか、
そういう風に想うと生きてる意味を見失って自死がチラつく事だってあります
まず、
自分は良い人じゃないですし(本当に良い人だったらもっと器用にやれてる)、
良い人を演じてる事自体苦しいと思っちゃうし、だから良い人になれる予感も全くない
もっと言えば自分に長所があるとは思えないし、嘆くだけじゃなくて、
たった一つでも良いから長所を見つけようと頑張ってても現状「何も無い」が続いている
それ、
意味あるの?と問われれば何も返す言葉は無いんですけど。

ただ、
「こういう事」なんですよね
自死を選べば取り敢えずその場の苦しみや葛藤からは逃れられる
でも、
人生なんて、
どう転ぶか分かんないから。
これは、
ハルが「生きるはずだった未来」のエピソードであり、
ハルが命を粗末にしてしまった事に対する罰・・・なんだと思う。
今は苦しいかもしんないけど、
歯を食いしばって懸命に生きてれば、
最終回のような未来も有り得たという提示、、、及び、
幻想の中だけでもハルの夢を叶えてあげたい~というシロ彦さんの優しさな気もしました。







結構、
具体的なラストじゃなく、
良い意味で曖昧な読み手の想像に任せる類のエピローグだったんですけど、
自死してしまったハルの本当の夢
或いは別の世界線、
及び、
勝之とハルの知らないトコで想いが結実していた・・・という一種の証明のようにも感じました
現実的に言えばハッピーエンドっていうよりもまた別のニュアンスの終わり方でしたが、
不思議とこれはこれである種の幸福だったのかな、、、なんて感じましたね
何が本当か、
何が幸福か、
そんなんに定義なんて無いですけど、
ただストレートなバッドエンドとは到底言い難い、
水面下の想いの結実を描けていた尊い話数に仕上がっていたと思います・・・!!

・・・・・同時に、
もう一つ思ったのは、
人生なんていつどのタイミングでどこに転がるかなんて全く分からない
もしハルが自死していなければ、「こういう未来があった」というメッセージだと仮定するなら、
読者も自分も未来を信じて生き抜いて行こうよ。という意図も感じたりもしました
少なくとも、
もうダメだ。と思って生きるのと、
何かを信じて懸命に生きるのとではモチベーションが全然違うので。
古崎さんの「今」の描写を含めてハルの母親がまだ漫画を続けてる~という描写を含めて、
先週に引き続きキャラの❝未来❞と❝夢❞を描いてみせた素晴らしいエピローグだったように思います。
山田シロ彦先生及びヤングジャンプの編集の方々大好きな漫画を一年2ヶ月の間ありがとうございました!!










色々書いたけど、
要約するとハルは可哀想な最期だったけど、
同時に最後の最後でようやっと幸福を掴み取れてたのかもしれない。っていう、
そういうエピソードにも感じられました。個人的には、
音無さんのマジのその後も見てみたかったけど笑
それもまた、
敢えて描かない~という配慮なのかもしれませんね
正直、深読みなんてし放題ですから笑
それでも、今まで散々苦労して来た分、「みんな」には幸福になって欲しいな―――――。
最後に一読者として願うのはそんなシンプルな願い「だけ」でした。
感想を読んでくれた皆様にも感謝の意を伝えたいと思います。
ありがとうございました(またシロ彦さんの次回作にも期待してます・・・!)。
単行本も最後まで買うぜよ。紙の本で。



明日へのメッセージ。/青年少女よ、春を貪れ。 第四十七話「おれの、最後の自己満足」

2022-02-10 | 山田シロ彦









勝之は、結果的に独りになった
彼は間違いなく良い人で善人中の善人だったと思うけど、
その分人生を円滑に過ごせるような「器用さ」には欠けていた
要するに、
生真面目すぎて良い意味でズル賢くなれなかったんだと思う
でも、この作品のファンから言わせると「それでこそ勝之」というか・・・
常に腐らず、
ダークサイドに染まらず、
優しい心を持ち続けながら進み続けるその様は、
ちゃんと美意識の中で明確な想いを抱えながら生き続けるその人間性は、
それ自体が明日を生きなければならない読者に向けてのメッセージであるように感じました。

やっぱり、
悲しみは結局いつまでも悲しみのまんまなんだと思う
本作が誠実だったのは何となく良い風に誤魔化さないで最後まで現実的に描いたそのセンスです
それはある種ハッピーエンド至上主義者からは「NO」を突き付けられる危険性も孕んでるんですけど、
でも、
個人的には読んでて気持ち救われるような内容だったので・・・
悲しい結末をハッピーに変える事は出来ない
ハッピーに変わる事は無い
というか、
悲しい事は永遠に悲しいままで生きていくしか無い
だけど、そうやって割り切る事が出来たのなら、それはそれで新しい活力になるのかもしれない。
中途半端に「何とかなる」って淡い希望を抱きながら歩む方がきっと苦しいと思うから。
そういう意味では物凄くメッセージ性の高い漫画だったのかな?とか感じました
激戦区のYJで1年以上続けれた要因はそこだったのかもしれない。
 個人的には、
島流しにならず本誌でちゃんと最後まで描かせて貰えたのは凄く良かったかな、と(笑
この間出た4巻発売のタイミングでもセンターカラー貰えてましたもんね。
その辺はシロ彦さんファンとして少し誇れるポイントです。







勝之以外のみんなのアフターライフも描かれましたけど、
亮は梅子さんが居るから安心やね
でも、
未だに罪悪感に捉われてる辺りホントこいつも生真面目な奴だね(笑
ただ、今まで苦しんだ分、幸福になろうとする行為の価値には気付けてるみたい。
梅子さんを幸福に導く事で亮の存在もまた変わって行くと思うんで・・・頑張って欲しい。 
 わゆちゃんは結局離婚、
まあでも、
どう考えても夫のが悪いから子供は帰って来たんですね
正直、勝之とくっ付くのもアリだとは思うけど・・・仕事の関係もありますけどね
ただ、ちょっと弱弱しかった彼女が強くなれたのはきっと勝之の好影響だったりするんでしょう
わゆちゃんの「これから」が凄く楽しみですし、素敵な女性として生きて欲しいなと感じましたね。
どうでもいいけど、再婚相手自分じゃダメっすか

・・・・・ゲフンゲフン、
話が逸れました(?)
龍樹は、
独り身だけど・・・
ただ、「元気で生きてる」という事実だけは変わらない
龍樹には恋人っぽい人も子供も居ないのがちょっと可哀想ではあるけれど、
でも「何も言わずにいてくれた」人達の為に頑張れてるのは良い事でもあるのかな。
 音無さんは、どうしたんだろう?
音無さんはそれこそハル「しか」無かった訳で、
その後ちゃんと生きれてるのかが気になりますけど、、、最終話で描かれるのかな?
案外、勝之とくっ付いても面白そうですが・・・SSでも書こうかな←←←
個人的には、
先週のアレで憎めない存在になっちゃったからな~
あの頃ハルに救ってもらったように、音無さん自身がハルのような存在になれたら一番良いとは思う。
(あと個人的には勝之と音無さんの居酒屋トークが聴きたい気持ちもある笑)。








でも、
最後の勝之の表情が語るように、
悲しみは悲しみのままで生きてる限り永遠に抱え続けて、
「だからこそ」そこから何かを見据えて進める様な人生を送れれば、
それがベストなのかな、とは感じたりもしたセミファイナルでした。
次週、最終回。
前作「凛とチア。」は最後まで各話感想書けなかったので、今作で無事にリベンジ出来たのを嬉しく想います。


責任としての自死。/青年少女よ、春を貪れ。 第四十六話「みっともない」

2022-02-03 | 山田シロ彦









全てが明かされ・・・
勿論、
散々他人に責任の所在を追求し暴れ回って来た音無さんの処遇、、、というか、
どうケリを付けるのかが気になってた訳なんですけども、選んだのは「自殺」という道でした。

これ、個人的には結構意外で、
もっとみっともなく足掻いたり言い訳するかな~って予想してたんですが、
皮肉にも自分の発言が引き金になったと分かるや否や、もう迷い無く自死を選んでましたね
こういう言い方はおかしいかもしれませんが、正直見なおした・・・否、自死を肯定する訳じゃなく、
音無さんはハルを殺した犯人を徹底的に酷い目に遭わせようと苦心してた訳でしょ?
それが本当は自分だって理解して真っ先に自分を一番酷い結末に追い込もうとした~っていうのは、
何気に筋が通ってるな、というか・・・
ホントに、
ハルに純粋に恋して救われてただけなんだな。っていう。
ああ、勿論、あんな暴走した事自体には流石の西京さんも怒ってますけど笑
でも正直「ピュアだな・・・」って感じてしまったのも事実ではある
彼女の目的は最初から復讐オンリーだった訳で、
それがああいう真実に因り手前に矛先が向くっていうのは自然っちゃあ自然なんですよね。。







ただ、
それを許さなかったのが勝之の「愛」であり「厳しさ」でもあった
確かに、ハルを(ある意味)誰よりも愛し誰よりも執心して来た音無さんだったので、
ある種の矜持というか責任の所在を自分に置いてそれを果たそうとする想いも分かる
正直、
ハルと同じとこに行きたいのなら、
ハルが死んだ時点で後を追っているはず
なので、セリフには無かったけど、これって 音無さんなりの「ケジメ」だった様にも思うんですよね。

でも、
それって見方を変えればある種の「逃げ」というか、
多分本当の意味での贖罪には成り得ないと思う
自分が考えるに・・・
やっぱ本当の贖罪って「生きる」事だと感じるんですよね
過去を受け入れて、消化して、貰った物を受け継いで、新しい「何か」を創造する
それがホントの罪滅ぼしだと思うから、、、正直頑張って欲しいですね
ま、
「頑張って欲しい」なんて気楽に言えないし、彼女がこれからどうするのかも想像付かないけど・・・。
助けた事は勝之の優しさであり、一つの手厳しいメッセージの様にも感じました

しかし、
勝之の言ったセリフは気持ち泣けるね~
っていうか泣きそうですね
初恋はみっともないもの・・・か。
未だに机の中に高校時代好きだった人の写真を入れて時々眺めてたりする身からすると、
痛いくらいに響いて来るセリフですが、、、ホント、よくみんな正気保ててると思っちゃうよ。
恋って死にたくなるくらいに本当は辛いもんだよ。でも、そんな体験をみんなが共有出来たのは真実。
哀しい想いは哀しい想いのままで、それを抱えながらいきてゆく。それもまた人生ですよね。
何も解決してないようで、見事に「何か」が解決してしまった。
そんな、
過剰に漫画っぽくなければ、
ドラマとかともまたちょっと違う、
オリジナリティ溢れる最後が非常に素晴らしいって思いましたね。
ぶっちゃけ知名度はあんまり無い漫画だとは思うんだけれども(申し訳ない)
もうそんな事はどうでも良くて、自分にとっては大切な傷を確認出来る尊い作品の一つでした。
このみんなのこれからの人生に幸が多いと良いなあ・・・って純粋に感じました。
まあ俺はもう疲れ切って色々諦めてますけどね←←←
それでも「日々は続いていく」
答え、でした。


自殺の理由。/青年少女よ、春を貪れ。 第四十五話「それが、決定打」

2022-01-27 | 山田シロ彦








ハルが死んだのは、
自殺だったみたいです。
っていうか、
先に謝罪したいんですが、
ハルの父親めっちゃ良い人じゃん・・・!!
この感想で、
散々ラスボス扱いしたり、
「手籠めにした~」など予想して申し訳ない
ミスリードにまんまと騙されましたけど、最初からラスボス扱いしたのはダメだったな~
偏見とか大嫌いなのに自分で偏った見方してちゃ論外だわな、、、猛反省だわ。

むしろ、
実の娘想いで、
なおかつ母親に対して一途でもあって、
更に娘の官能的な目配せにもしっかりと対応しない冷静さもあって、
物凄い常識人じゃないか・・・と正直感じました
理性で抑えたのかもしれませんけど、
あの時点では、
自分「では」実の父親だと告げてもない訳で、
ちょっとくらいやましい気持ちが沸いても男なら有り得る話だとも感じたんですが、
毅然とした態度できっちりと正しさを選んで妻しか愛さない道を進んだ
そう考えると、
ある意味そんな人の善さが逆にハルを追い詰めてしまった~とも言えなくもないので、
ラスボスっていうのも捉え方によっては合ってるのかも?とも思いましたが(笑
 まあ、
いずれにせよ、
音無さんの件の電話からは(きっと)逃れられなかったとは思うので、
結局・・・自死という未来は変わらなかったのかもしれません。
あれが古崎さんの言ってた「罪」だったのかな?







いずれにせよ、
ハルは色々なものを背負い過ぎた。
母親から愛されなかった辛い体験だったり、
逆に何の関係もない古崎さんが認められた事で実の娘である自尊心が揺らいだり、
決して恋してはいけなかった相手に生涯の恋をして十字架を背負ってしまった
その他にも、
様々なストレスを抱えて生きてきたのだと思う

自分からすると、
多少ぶっ飛んでるものの、
本当は正しく生きたかった~という想いは伝わってくるし、
実際、
罪悪感を抱えたまま、
のうのうと生きていく事が出来ないくらいに正義感や責任感が強かったんでしょう
もっと言えば、図太くずうずうしく生きる事が出来なかったんでしょうね
引き金は音無さんだったんでしょうけど、
要因としては・・・
様々な負荷に因る積み重ねに因る自死の選択だったのでは?とか思いました
ある種真面目で、でも、だからこそ適当に歩んでいけるような「強さ」は無かった

俗に言う、
悪人と言う悪人が誰も居ない、
誰の気持ちにも共感出来る
でも、
誰かが耐えられなくなって、自殺してしまう。
その感じはとてもリアルであると同時に漫画漫画してない良さが確かにあります
エンタメ作品では間違いなくないけれど、それでも心に残っていく傷のようなドラマが存在しています
音無さんの電話に関しても本人はただ無邪気だっただけで内情とかを知ってた訳じゃないから、
結果的にあの行動は彼女を追い詰めましたけど、皮肉ではあるけど悪意はゼロだった







本音を言うと、
やっぱり母親に愛されて欲しかった
母親に大事にさえ、されていれば、きっと真面目に正しい生き方を送れていたんでしょう
この漫画の登場人物が抱えていたのは皆純粋な気持ちでそこに悪意は無かった
みんな血の通った人間だった
逆に言えば、
感情があるから皆辛いんだろうな、、、とも感じましたね
ハルが最後に選んだのは自死を遂げて罪悪感を清算するという最期でした
それが不幸だったのか、逆に精神的苦痛から解放されて幸福だったのか・・・は分かりません。

ただ、一つだけ言えるのは、「彼女は確かに愛されていた。」
それだけですね。


禁断の恋。/青年少女よ、春を貪れ。 第四十四話「あの日までは」

2022-01-20 | 山田シロ彦








どうやら、
ハルはおじさんに手籠めにされた訳ではなく、
自分から好きになってしまったみたいでした
そのおじさんを忘れる為に色々な男性と付き合うも、
やっぱりおじさんが忘れられず・・・という事みたい
母親の子供に関しても、
「ああいう事」があって、、、どうやら罪悪感で自死を決断してしまったみたいですね。







ただ、
その全部が「ハルのせい」かと言えば、
正直違う気もする
娘を切り売りしてた母親、
娘を雑に扱っていた母親、
そして、
娘の承認欲求を満たせなかった母親・・・
ま、
母親は母親で、
売れなければいけない、
食わさなければいけない~という独特のプレッシャーはあったんでしょう
それを想うとそこまで強く非難は出来ませんけど・・・ただ、育て方を間違えてしまったのは確か

とはいえ、
こうやって眺めてると、
「こいつが悪人!」ってキャラが居なくて、
多分それぞれに事情があってそのモヤモヤが絡み合ってしまったのかな~という印象の方が強い
ハルの自死に関して言えば、あまりにも視野が狭すぎるし肯定は出来ないけれど、
ただまあ、元々は良い子なんでしょう
でないと、
「責任取って死のう」なんて絶対に思わないだろうから。
う~ん、複雑ですね
でも、これこそドラマって感じはしますね
エンタメではなく、ドラマ。ハルだってきっと、母親に正しく愛されてれば、きっと間違えなかったんでしょう。



認めて欲しい。/青年少女よ、春を貪れ。 第四十三話「おじさん」

2022-01-06 | 山田シロ彦
切ない。








それにしても、
本作の登場人物はみんな各々に哀愁を抱えてるなぁ・・・って思いました(笑
みんな哀し過ぎだよ、、、と思いつつ、
ただ、
正直現実もこんなもんなのかもな~とか思う自分も居たりする
なんかなあ・・・やっぱり「元気そう。」というのは表面上だけの話でしょ?
そりゃ、逐一心配されたら申し訳ないし気に障る部分もあるから表面上そうなるのも普通なんですよね
でも、
水面下じゃどうしようもない哀愁を抱えてる~って結構あるあるだと思うんですよね
華やか(に映る)な芸能界でも・・・ねえ?結構、「そういうコト」もあるから。

だからこそ、
ハルには「本当の意味で」救われて欲しい、
彼女の承認欲求が満たされて欲しい。という気持ちも沸くけど、
でも、
哀しいかな初回の時点でもうこの世には居ないんですよね。
それを考えると、
逆に言えばわゆちゃんとかは苦悩もありつつ何とか気持ちに折り合いをつけて生きてられたという見方も出来る
だから、先述の様に現実の我々も各々独自の哀愁を抱えながら懸命に生きてると思うんだけど、
ハルだけは・・・きっと折り合いがつけられなかったんだろうし、
それもまた残酷だけど現実的な表現と思うんですよね







ハルは、
本当の意味で誰かに褒めて欲しかった、
努力を認めて貰いたかったんだと思う
それは、
自分の肉親である母親への想いが大きかったんだと思うけど・・・
ただ、
母親は母親で、
漫画制作やその他諸々で追い込まれてて、
娘に構う程の精神的余裕が無かったのかもしれないですね
 個人的な推測になるのですが、
ハル自身が母親の漫画をあまり好いて無かったのも母親にとっては否定されてる感あったかもです
まあ、あのエッセイ漫画は正直絵も可愛いし面白いとは思うけど、大半が悪口なので笑
なんというか・・・母親には母親で「何か」があったのかもですね

でも、
それはそれとして、
ハルはデジタルの見知らぬ人の賞賛に喜びつつ、
リアルな人のぬくもりや承認に飢えてたのかも知れません
ただ、
自分自身のやって来たことや
努力だったり、
人間性を認めて欲しかったのかも・・・と想像すると、
何となく勝之が「最後の人」になってたのも今なら分かる気もします
その前に、
ラスボス?である親父さんとのエピソードが待っている模様
今週の話だけを切り取ればここから人生が快方に向かって行きそうな感じもしますけど・・・
わゆちゃんの目撃証言があるだけにケッコー読み進めるのちょい怖いかもね笑
ただ、
この物語は最後まで追い駆けると決めてるので。
2022年も前のめりで感想及び考察をつらつら綴ってゆこうと思います、
よろしくお願います♬




あの頃の様に。/青年少女よ、春を貪れ。 第四十二話「許せんかった」

2021-12-24 | 山田シロ彦









冒頭の、
勝之、亮、龍樹、わゆちゃんのやりとりは微笑ましくて非常に良かったです。。
本当は、
本来なら、
「ああいうの」がみんなの理想だったんじゃないだろうか・・・とか感じつつ、
すべては古崎さんの手の平の上で踊らされてたっぽいですね。

だとしても、
それがあったから、
またこうして笑えるようになった、とも言えますけどね
そこに関しては良いし悪いしという印象ですが。







ハルは何故、
最期のメッセージを古崎さんに託したのか?
それは、きっと近しい人には精神的に言えなかったんだと思う
ただ一人でも誰かに分かって欲しくて、
その相手には古崎さんぐらいの距離感の人が良かったのかも、ですね・・・。
それと、昨日書いた感想で古崎さんの想いは(ホントは)伝わってたのかも分からないですね
古崎さんもそのハルの想いを胸にこれまでずっと生きて来たのかもしれないですが。

古崎さんの復讐の件に関しては、
分かる部分もあるし、やりすぎだと思う部分もある
古崎さんのやったことが「全部」正しい~だなんて書くつもりは無い
ただ、
間接的にでも恨みを晴らしたかったんだとは思うし、
彼彼女らがのうのうと生きてたのもまた事実だから・・・。
難しいですけどね
酒のせいでフラついたのもあったかもしれない
辛辣な態度がハルを追い詰めたのもあったのかもしれない
でも、
正直「罪」ではない
なので古崎さんのやった事は逆恨みでもあったんですけど。
とはいえ、龍樹らが「全部」正しいとか書く気にもなれないし、、、ホント難しいですよね。
ただ、そのこじれた感覚こそこの漫画の一番の魅力だとは、やっぱり思いますね。。笑
そういうトコが強みでヤンジャンで1年間生き残れたのも事実でしょう。
あ、そうそう、今更ですが、連載1周年おめでとうございます・・・!!🎊👏😊✨







次回、
遂に「ハルの本当の想い」が語られるみたいです
それに注目・・・と同時に、勝之への本音も明かされそうでそちらもまた楽しみです・・・!
音無さんでは、出来なかったこと。それは、勝之の誠実さに他ならない
一方的ではなく、フラットな目線に立って、相手を理解する。
だからこそ、相手も本当に心を開いて話してくれる。
それは本作の主人公たる所以であり、
これまで勝之を支持して来た当ブログとしても誇らしく思いました、ね。


親の愛情。/青年少女よ、春を貪れ。 第四十一話「伝えたかった」

2021-12-23 | 山田シロ彦








昨日書いた感想で2つの予想をしましたが、
どうやら最後に書いた方のハルのコンプレックスの方が正解だったみたいです。。
良かった、
念のため2つ書いておいて・・・笑
でも、
ハルの気持ちも分かる
父親は噂通りなら「そういう人」で、
母親からもああいった扱いじゃ確かに愛情には飢えるわな
外見だけならば、ハルはインスタも大人気のクラスのヒロインだったのかもしれない
ただ、
その実ハルの胸の内は常に何かしらの虚無感が渦巻いてたのかも、ですね。







しかし、
古崎さんの健気な事よ。。
古崎さんは古崎さんでプロになる~とか、
大多数に認められる~とかではなく、
たった一人でも良いから、
誰かに認められたかった
それも、ハルっていう明確な想い人が居ましたからね
ただ、ハルの母親の言葉を無言で聴いてた事でハルに猜疑心を持たれたのも間違いない
あの時、本当はハルは否定して欲しかったのかもしれないですけど・・・
古崎さんが最後にハルに読ませた漫画は、
ある意味、
古崎さんのラブレターだったのかもしれない
でも、逆にそれがハルにとっては余計に中身が無い(と、自分で思ってる)ハル自身への追い打ちになったのかも
それでも、古崎さんの気持ちも、救われたという経験も、未練もすべて「本当のこと」だったので。
うん、その想いの美しさは客観的に見てて素晴らしいものだったかなあ、と。







にしても、
ハルが古崎さんを呼んだのは、
一体何の目的だったんでしょうね
突き放した事への贖罪か、
はたまた、
今までの全部をきれいに清算して元々終わるつもりだったのかもしれないですね・・・。
その辺も含めて、また逐一注目してゆきたいですね。あと1話で追いつくぞ!!