令和2年5月22日 I-JAMP
地方公共団体情報システム機構
10万円支給業務で支援ソフト=データ照合効率化へ―
地方公共団体情報システム機構(J―LIS)は、災害時に自治体の被災者支援業務をサポートする「被災者支援システム」に特別定額給付金の管理業務向けの機能を追加し、市区町村に無償でソフトの提供を始めた。
地方公共団体情報システム機構(J―LIS)
システムを導入すれば、支給対象者のデータ照合がパソコンの画面上でできるようになる。
業務の効率化に役立ててほしい考えだ。
国民1人当たり10万円を配る特別定額給付金は4月27日時点で住民基本台帳に記載されているすべての人が対象。
ただ、マイナンバーカードを使ったオンライン申請で受け付けたデータと、住基台帳の情報を突き合わせて支給対象者を確認する作業で、窓口の市区町村に大きな負担が生じている。
機構が提供するシステムは、市区町村が保有する住基台帳データを取り込むことで「給付金台帳」を作成する仕組み。
給付金台帳に郵送やオンラインで受け付けた情報を入力すれば、データの照合結果が自動的に表示される。
給付金台帳から申請者の送付リストを作成することもできるほか、支給状況を一覧表で随時確認することも可能だ。
機構によると、被災者支援システムは2019年4月1日時点で388団体が導入している。
導入済みの自治体には今回の改修を反映した更新プログラムを配布。
まだ導入していない自治体には、特別定額給付金向けの機能に限定したソフトを提供する。
システムの利用は、機構のホームページから申し込める。
新型コロナ-10万円給付、自治体で時差
電子申請不備多数、対応苦慮―
新型コロナウイルスの経済対策で、国民1人当たり10万円が支給される「特別定額給付金」。
総務省によると、全国約97%の市区町村でオンライン申請が始まっているが、給付が開始されたのは6割弱にとどまっている。
担当者らは「短期決戦だ」と休日返上での対応に追われている。
自治体が頭を悩ませているのは、申請手続きをする政府のサイト「マイナポータル」での記入情報と、自治体が保有する住民基本台帳との照合作業だ。
一括でできるシステムがない上、世帯主以外からの申請や別世帯の同居人の記入など間違いが多く、修正や確認に時間がかかっている。
18日から給付を始めた品川区は約1万1600件の申請のうち、入金手続きができたのは680件にとどまる。
目視で姓名の間の1字空けの有無や、合併前の古い銀行口座番号での申請を1件1件修正。
初日は約7割に不備が見つかり、1件も処理できなかったが、作業のルール作りや簡易プログラムにより、1日の処理数は350件になった。
いかに手作業を減らせるか。
福岡市は、19日時点で約1万8000件のデータを銀行に持ち込めた。
1日の処理件数は約3000件で、担当者は「手探りで始めたが、職員手作りの照合システムがようやく軌道に乗り始めた」と話した。
江戸川区は修正を後回しにして、処理速度を上げている。
17日までに、オンライン申請の1万5217件のうち約85%の入金手続きを終えた。
ただ、残りは記入漏れや不備があり、修正や再申請の通知に時間がかかるという。
同区の郵送手続きは5月下旬に開始予定で、担当者は「オンラインは不備がなければ早いが、間違いがあれば大きく遅れる。
余裕のある人は時期をずらして郵送で申請してほしい」と話した。
給付をめぐっては4月、政府方針が減収世帯への30万円給付から一律1人10万円に転換。
ある自治体の担当者は「一日も早く届けたい一心だが、準備期間は短く、シミュレーションも一から考え直しだった。
政治に振り回されている」と心情を吐露した。
申請のシステムについて、内閣府は「急いだ結果、時間がない中で利用者の利便性を優先した。自治体とやりとりしながら日々サイトを改善している」と説明している。