ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

橋本龍太郎、死去

2006-07-02 10:12:47 | 社会・政治・一般
土曜の午後、事務所で仕事をしてたら、元首相であった自民党の橋本龍太郎が、病死したとの報がラジオから流れてきました。

日本古来の妖怪に「鵺」(ぬえ)と呼ばれるものがいます。まさに鵺でしたね、この政治家は。正体をなかなか見せない、本音を滅多に語らない。ポーカーフェイスを気取りながら、額の皺で本音が透けて見える、奇妙な人でした。

頭のいい人だとの風聞は随分耳にしました。多分、官僚的な頭の良さの持ち主だったと思います。霞ヶ関の住人からの評判は良かった。反面人望には欠ける頭の良さでもあった。だから根回しは下手でした。

田中角栄に始まり、竹下、金丸と自民党を裏面から支配した派閥の後継者としては、いささか力足らずでした。それでも、この人の功績は大きい。税金を資金源に、それを取りまとめて、適材適所にばら撒く。その過程でおこぼれにあずかる政治システムの継承者でした。この人の狡猾さあってこそ、バブルの腐食した利権を、国民から覆い隠すことが出来た。

旧・社会党を利用して政権を奪い返し、人気者の菅直人を利用して、汚染血漿製剤の拡散に絡んだ件を隠し通した。物的証拠は残さず、自分の名前が出ないよう、巧妙に動きまわり、利権を確実に守る名人だった。

この人の最大の失敗は、アメリカ国債の売却を匂わすような微妙な言い回しをして、アメリカ側から不信感をもたれてしまったことでしょう。それゆえ、退陣をせざる得なかった。言質を取られぬ、微妙な言い回しは、日本国内ならともかく、欧米には通じなかった。そりゃ、中国寄りにもなろうってものだわさ。

自民党をぶっ壊すといいつつ、旧・経世会をぶっ壊した小泉政権下では不遇であったのでしょう。医師会献金疑惑と引き換えに引退して、保身を図ったようですが、病気からは逃れられなかった。

謹んでお喜び・・・じゃない、ご冥福を祈らせていただきます。
コメント
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