ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「警官嫌い」 エド・マクベイン

2006-07-28 15:11:56 | 
初めて「お巡りさん」を意識したのは何時だろう?

普通の子供は迷子になって交番に連れて行かれた時だと思う。私もご多分に漏れず、よく迷子になった。一人で勝手にチョコマカ動き回るからだ。でも、大概はデパートや遊園地の迷子のコーナーだった気がする。交番に、迷子でお世話になった記憶はない。そう、迷子では・・・だ。

実のところ、交番やお巡りさんにはあまいいい記憶がない。大概は何か問題を起こして、交番に連れ込まれたか、警官に無理やり連れて行かれたかのとっちかだ。まあ、多くの場合問題を起こした私が悪いのだが、だからといって「お巡りさん」を好きになるはずがない。

そんなわけで、子供の頃から「お巡りさん」は苦手だった。当然、TVの警察ものすら、あまり見なかった。「7人の刑事」とか「Gメン75」とかは微かに記憶にあるが、刑事なんぞ敵だと思っていたので、見る気になれなかった。

でも、推理小説は結構好きだった。探偵ものがほとんどで、どうも警官や刑事を主人公にしているものは、無意識に避けていた気がする。むしろ探偵が警察以上の活躍をしたり、怪盗ルパンが警察を出し抜くのが楽しみだったりする。

で、表題の作品だが、本来87分署シリーズの第一作であり、当然に刑事が主役の推理小説なのだが、タイトルが「警官嫌い」とあったので、ついつい読んでしまった。何を期待していたのかは、言うに及ばずだ。しかし、私の期待とは裏腹に、これは面白かった。はまってしまった。

面白いからイイじゃないかと、自分に言い訳しながら読んでいたのが滑稽だった。でも、警察嫌いを忘れるほど夢中になって読んでいた。さすがに自分も刑事になろうとは考えなかったのが、私の依怙地なところだ。

当たり前のことだが、刑事も警官も一人一人個性のある人間であり、弱みもあれば、ドラマもある。組織に縛られ、途絶えぬ犯罪に振り回され、家庭につけを回さざる得ない苦しみもある。そんな刑事たちの人間ドラマを描いた87分署シリーズは、私の警官嫌いを幾分か癒してくれた気がします。

ちなみに私は、キャレラ刑事の全盲の奥さんのファンでした。マイヤー・マイヤーも味のあるキャラクターで忘れがたい。主役が一人でないのも、新鮮な魅力でしたね。なお、著者のエド・マクベインは昨年逝去されました。合掌。
コメント (7)
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