ヌマンタの書斎

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日本サッカー界の展望

2006-07-18 09:30:53 | スポーツ
一ヶ月続いたワールドカップ・ドイツ大会もイタリアの優勝で幕を閉じました。ヨーロッパで行われた大会らしく、ヨーロッパ勢の優勢が目立った大会でもありました。

サッカー後進国であった日本も、ようやくサッカーの世界水準がいかなるものか、分かってきただろうと思います。日韓大会での好成績から、今大会での活躍を期待、希望した浅薄さに気づいたせいか、日本代表に対する厳しい視線も増えてきたようで、これはこれで喜ばしいことです。

突き詰めれば、日本のサッカーの弱点。それは体格でもなければ、戦術でもない。それはなによりメンタル面と経験値の違い。正直言って、監督を変えれば治せるものではない。

日本サッカーの問題点を見ようと思ったら、まず小学校や中学校といったジュニア・クラスでのサッカーの現状こそ観るべきだと思います。そこでいかなるサッカーを教えているのか、そこにこそ問題がある現実を知るべきでしょう。

今もというべきか、昔からなのですが、日本では既にジュニアの段階から、個人としてより、チームとして戦うことを強く指導しているのです。ボールを持っても、相手選手が迫ってきたら、すぐフリーな味方を探してパスを出すプレーを推奨しています。もし、ボールを保持したまま、突破を図ろうとして、逆にボールを奪われようものなら、その選手はコーチに呼ばれて、みっちり指導を受けます。「周りをよく見て、確実にボールを前に進めて、チームの勝利を目指せ!」

チームが勝つことを至上の命題とすること自体、間違いではありません。しかし、常に相手のプレスに対してパスを選択させることは、明らかに間違いだと思います。ドリブル突破とパスの両方あってこそ、プレーの質は向上する。パスも選択肢の一つであり、一対一の技術向上だって、チームの勝利に貢献するはず。

しかし、日本のサッカー教育は、どちらかといえば明らかにパスを選手に推奨したがる。なぜか?私のみたところ、コーチ達の多くは一対一の技量が低く、その指導が十分に出来ないようなのです。また一対一の技量よりも、パス交換を通じたチーム戦術をより上級なものと考える傾向も強い気がします。

このようなサッカーを子供の頃からやってきたのが、日本のサッカーでした。それゆえ、アジア勢随一と言われる、戦術的サッカーをする国との定評を得ています。パスをつなげるサッカーは、それ自体魅力的であることは否定しません。しかし、プレスをかけられると常にパスに逃げるサッカーに成りがちなのも否めない事実。

ドイツ大会での日本代表も、この弱点を衝かれ、中盤に強烈なプレスをかけられ、パスをカットされ、ボールを奪われて攻められるシーンが続出していました。これって、監督を変えれば治る問題なのでしょうかね?名将イビチャ・オシムをもってしても、これはなかなかに難しい問題だと思わざる得ません。

日本のサッカーを向上させる基盤は国内リーグ、すなわちJリーグです。そして、このJリーグのチームは過去一度もアジア・クラブ選手権すら優勝経験はありません。これが日本の現実です。Jリーグに選手を送り込むジュニア育成の段階から、世界を意識した強化をしていかない限り、日本がワールドカップで活躍することは厳しい。監督批判や、戦術批判などいくらしたところで、日本が強くなることはないでしょう。

とはいえ、まったく希望がないわけでもない。今年の高校サッカーの覇者、野洲高校のサッカーは今までにない個人技のさえたサッカーで強豪をなぎ倒しての優勝でした。こんなサッカーを高校で見られるとは思いもしませんでした。少しずつ世界に近づくサッカーが成されている、そんな期待感を思わせるサッカーでした。遅々たる歩みですが、それでも前進しているようです。次の南ア大会にも、厳しい予選を勝ち抜いて出場してもらいたいものです。
コメント (2)
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