ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「科学の終焉」 ジョン・ホーガン

2007-02-27 14:45:06 | 
私は比較的、楽天的な性格だと思う。そうなのだけれど、悲観的にならざる得ない場合もある。

私が悲観的にならざる得ないのは、現代文明の行き先だ。18世紀の産業革命に端を発した、この文明は科学の発達を前提としている。その科学の進展に希望が見出せない。それあ悲観の根幹にある。

現代の文明は石油と鉄と電気で動く。様々な改良が施されてはいるが、その根幹は20世紀初頭に完成したもので、以来1世紀ちかく抜本的な新しい発明は皆無ではないか?

原子力があるといいたいところだが、あれは未だ未完成の技術だと思う。少なくとも核融合の実用化を実現しない限り、先の見えた分野だと思う。そして、核に関する最先端の研究をしている科学者からは、悲観的な発言が相次いでいる。膨大な予算を必要とする事業ゆえ、その声が大きく取り上げられることは少ないが、実用化はまだまだ遠いというのが現場の多数意見らしい。

バイオや遺伝子技術などもあるが、やはりそれが今後の人類の根幹を支えていくとは考えにくい。新発明や、新技術の発展も枝葉末節的なもの(応用技術とも言う)が多く、とりわけ基礎科学の分野での新たな発見は半世紀あまりないとさえ言われている。

表題の本は、発刊後かなり評判を呼び、とりわけ最先端の科学分野で活躍する科学者たちから反発を買った。私自身、この本は少しエキセントリックに過ぎると思う。例えて言うなら、TVのワイドショー的誇大表現が目立つのは事実だと思う。

それでも無視し得ないのは、やはり現代文明の先行きに不安を感じているからだ。化石燃料費消型の文明は、必然的に環境問題を引き起こす。古来、幾多の文明が衰退により滅んだ。外敵の侵略で滅ぶよりも、自ら自壊の道を辿る文明のなんと多いことか。

急激に発展した現代文明は、いま大いなる停滞の時期を迎えつつあるのではないか。そんな疑問が脳裏から消えることのない。停滞とは悪いことばかりではない。それは安定の時代でもある。だとしても、発展から停滞に至る過程での混乱は避けられまい。

別に予言者を気取るつもりはなく、観察者で十分だと思っていますから、偉そうなことはこの辺でやめておきます。臆病者の私は、こんな不安な時代だからこそ、今を幸せに生きたいです。さて、今夜は何を食べようかな~♪
コメント (2)
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