ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「SLUM DUNK」 井上雄彦

2007-02-10 13:43:29 | 
漫画はかなり好きだと思うが、大概が単行本で読むのを好む。週刊誌などにも目を通すが、気に入っている作品にしか興味がなく、ほとんど立ち読みで済ませる。

ただ、表題の作品だけは、どうしても早く続きが読みたくて、週刊少年ジャンプが発売される日は、必ず目を通していた。なかでも、最後の山王戦の顛末は、どうしても早く知りたくて、わざわざ早起きしてコンビニへ行って、立ち読みしていた・・・

後にも先にも、こんな真似をしたのは、これだけだ。

あれは、漫画という表現方法の頂点の一つだと思う。90年代の漫画の金字塔だとさえ思う。

山王戦のラスト5分足らず。一切の科白、擬音はなく、ただひたすらに絵だけで物語が流れていく。擬音がないのに、バスケット・ボールが体育館の床を叩く音が響き渡る。科白がないのに、選手たちの叫びが耳を打ち、観客の応援が木霊する。紙のページから激しい息遣いと、流れる汗が感じ取れる。

読者は、ただ立ちすくんで、絵から場面を思い描く。自分がまるで、その試合会場にいるかのようなリアルな感動。ほんの5分足らずのプレーが凝縮された、わずか50ページあまりに目は釘付けだった。

その試合の後、漫画は最終回を迎えた。唐突だけれど予感されていたような終り方。よくぞ止めたと思う。ダラダラと続けて駄作と化さず、断固たる意志で終わらせた作者に喝采。

それでも、その後の花道や流川を見たいと思ってしまうから、ファンとは困ったものだ。
コメント (6)
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