柳沢大臣の失言に思うこと

失言で世間を賑せた柳沢・厚生労働大臣だが、以前から頭の良い人だと思っていた。官僚受けが非常に良く、金融庁長官当時から旧・大蔵省などから覚えの良い政治家だと聞かされていた。

頭は良いが、情理の薄い人だということが良く分かる失言だった。だからこそ、官僚受けが良かったのだろうと憶測している。

少子化の問題は先進国共通の問題で、例外はアメリカだが、これも有色人種の増加が中心で、白人は相対的に減少の一途を辿っている。

１８世紀の産業革命以来、白人が主導してきた西欧近代文明は黄昏を迎えつつあるのだろうと思うので、人口の減少は自然の摂理かもしれない。「神の見えざる手」による導きは、今も生きているのだろう。

戯言はともかく、人口減少は切実な問題でもある。私の周囲には夫婦共稼ぎが多い。子供を持ちたい願望はあれど、仕事と家庭の両立の困難さから、子供を持たない夫婦もいる。また、働いた経験を持つ妻は、外に出て働いたり、学んだりすることを望む。無理もないと思う。

はっきり言って、今の日本の社会は子供を持ちにくい。市町村によっては、補助金を出したりして、子供の増加を応援したい意向を持っているようだが、あの程度では難しい。

一つの手だが、家政婦を雇い、子供を置いても安心して外出できるようにしてみてはどうか。潜在的需要はかなりあると思う。実のところ、在日大使館や外資系企業のエリート役員には、家事を家政婦に任せている家庭がある。家政婦の担い手は、大半が外国人だ。

私の知る限りでは、フィリピン人が多いようだ。これは日本人と国際結婚した家族がいて、ファミリーヴィザで来日して働いていると聞いた。語学力が高く、世界各国にメイドを派遣している人材輸出を得意にしている国だけに、フィリピン政府も応援しているようだ。

先年のＦＴＡ交渉の際にも、当然議題に上がったようだが、法務省の強硬な反対で頓挫した経緯がある。しかし、看護師やホームヘルパーを認めているので、いずれ家政婦も追加される可能性は否定できない。

介護の現場をみても、本来の介護よりも、家政婦的な需要のほうが高いところも少なくない。少子高齢化社会を目前に控え、一人暮らしの高齢者も増えているが、現在の民生委員などを活用した制度には限界があると思う。民生委員自体、高齢者が多く、しかもなり手は不足気味。

審議拒否で税金の無駄遣いをしている野党も、もう少し真剣に「柳沢・失言」の背後にある、少子高齢化社会への対応を考えて欲しいものです。