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ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

終業式に想うこと

2007-03-13 12:05:50 | 日記
桜の花が色づき、微かな香りが心地よい時節となりました。そろそろ卒業式の時期となり、様々な思い出が脳裏をよぎります。

実のところ、私は式典という奴が大の苦手。どうも子供の頃から、式典には良い思い出がない。大体に堅苦しいのが苦手だし、形式ばるのも嫌い。物事の始めと終りには、何らかの形があったほうが良いという理屈は分る。分るけれど、苦手なものは苦手なのだ。

別れの思いに感極まって涙ぐむという卒業式ですら、涙のナの字も泣いたことがない。人前で涙を見せるのを嫌がるせいもあるが、高校や大学では卒業式の後のお別れコンパの幹事をやったり、いろいろと雑用が多くて、スケジュール調整にてんてこ舞いしていたせいでもある。要するに忙しくって、感涙にむせている暇がなかったのだ。

そんな情緒の欠片もない私だが、未だに忘れがたい別れが一つある。

3学期の最後の授業を終えた日のことだ。私は成績だけなら文句付けようのない優等生だったが、出席に関する限り劣悪だった。遅刻の常習犯だった。別に怠けていたわけではなく、パチンコで稼いでいただけなのだが、授業の予習だけは完璧にやっていたので、試験に遅れをとったことはない。

それでも、出れなかった授業の内容は知っておきたかったので、隣の席の女の子によくノートを写させてもらっていた。最初はそれだけだった。でも、次第に彼女が気になってきた。日本人形みたいに奇麗な子だったが、花がほころぶような笑顔に惹かれた。授業には、ろくに出ない癖に、成績が良かった私を不思議がっていた。「ノートを貸しているのは私なのに、なんで私より点数いいの?」と拗ねる仕草が可愛かった。

その最後の授業の日、彼女が私にシャープペンをくれた。「いつも、勉強教えてくれてありがとう」と言い添えて。それは普段、彼女が使っていたシャープペンだった。慣れないことなので、私は驚いてあたふたした。週末、私は考え込んだ。終業式の後の春休み、映画にでも誘ってみようかな・・・

明けて月曜日が終業式だった。が、彼女はいなかった。風邪かなあ?電話してみようかな・・・などと考えていたら、担任の先生がとんでもないことを口にした。

なんと彼女は両親の仕事の関係で、既に海外へ出国して今日の終業式には出られないのだと。

あまりの衝撃に、頭に霞がかかったような状態に陥った。その日、一日なにをしていたのか、まったく覚えていない。そのくらい衝撃的だった。彼女と親しい子たちは、事前に知っていたようだが、私はまったく知らなかった。

私はなんて馬鹿なんだろう。終業式なんて待つ必要はなかった。あの時、話していればよかった。先延ばしにする必要なんて、なかった。3学期、時折寂しそうな表情を見せていたことに、気が付いていながら、何も言わなかった自分に腹が立つ。大馬鹿だよ、私は。

人間、なにかをして失敗したなら、傷ついても忘れることは出来る。やろうとして、やらずに終えてしまったことは、いつまでたっても後悔だけが残る。

3月は別れの月でもありますが、私はこの後悔を未だに引きずっているようです。
コメント (4)
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