ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「黒衣の女」 スーザン・ヒル

2007-03-21 14:05:53 | 
初めて訪れた外国の都市がロンドンだった。

ハワイやグアムにも街はあるが、都市という感じは薄い。開放的な南国の雰囲気が、都会らしさを拭ってしまうからだと思う。

一方、ロンドンは子供の頃からの憧れであった。なにせシャーロック・ホームズに夢中になった私だ。霧の街ロンドンは、是非とも訪れたいと願っていたので、初めて訪れた時は感慨深いものがあった。予想に違わず、ヘンな天気の街だった。

最初の訪問は8月だったのだが、Tシャツ姿の若者もいれば、スーツをきっちり決めた紳士もいる。その隣りには、ウールのコートを着た老婦人がいる。季節感がてんでバラバラな服装に驚いた。でも、最初の一日で納得した。朝、快晴でポロシャツ一枚で快適だったのだが、昼食をとりに大英博物館を出ると、冷たい風が吹き、慌ててジャケットを着込んだ。

一度ホテルに戻り、一休みしてから夜のソーホー界隈を出歩く時には、冷たい雨が降り注いでいた。当地に駐在している友人の勧め通りに、パーカーを持参していたので、それを着て夜のロンドンを満喫した。翌日は、Tシャツ一枚でも暑い夏の陽気だった。ヘンな天気の街だと思った。

以来3回ほど訪英している。実のところ、未だにロンドンの街から離れたことがない。興味はあるのだが、大英博物館が私を放してくれない。テートギャラリーが私を引き止める。見たいところが沢山在り過ぎて、数日間の滞在では見て回れないのだ。

ここ3年ほどは仕事の都合で、連続4日以上の休みがとれず、海外旅行は控えている。もう少しして、仕事が安定したら是非とも再び訪英したいと考えている。ホームズとワトソンが石畳の道を車で走らせたロンドン郊外の街並みを観てみたい。ヘリオット先生が駆け巡った、丘陵地帯を覗いてみたい。

怪奇現象には縁の薄い私なので、ネッシーは期待できないが、表題の本の舞台となったイギリス東部の湖沼地帯も訪れてみたい。のどかな自然と、古めかしくも威厳のある古い地方都市をこの目で見てみたい。霧が全てを覆い尽くしてしまうという、スープのように濃厚な霧に包まれてみたい。

表題の本は短編ながら、霧に巻かれたような恐浮。あわせてくれるホラー小説です。恐ろしいと同時に救いようのない憐れみを禁じえない。それにしても、最後の顛末はお見事。ホッとしたところに、最後の恐怖を投げかけるのは、ホラー小説の定番ですが、私もビクッとしました。してやられた~
コメント (7)
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