ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

キリン・カップ・サッカーを観て

2007-06-13 15:02:08 | スポーツ
私はジーコ・ジャパンにそれほど批判的ではなかったのだけれど、一点気になっていたのが「遅攻」。ちょっと、呆れるくらいに攻めが遅い。これは中盤にボール回しの上手い選手が多かったせいでもあるが、カウンター型の速攻を滅多にやらない戦い方には、いささか疑問をもっていた。そのかわり、最後まで諦めないというか、土壇場での勝利が多く、観ていてハラハラドキドキが嬉しいチームでもあった。

オシムを代表監督に迎えてから、その遅攻がなくなってきた。スペースに選手を走りこませ、少ないタッチでボールを回す事を優先させてきたからだと思う。ところが、海外組を入れると、いつのまにやら遅攻が復活してくるから面白い。

現在代表で、中心的選手となっているのはガンバの遠藤だが、面白いことに国内組だけだと素早くボールをまわす。ところが中村俊輔ら海外組が入ると、いつのまにやら中盤でボールを丁寧にまわそうとする。海外組と一緒にプレーした経験が少ないはずの中村憲剛や鈴木まで、ゆっくりボールを回しだすから不思議だ。

新聞のコメント等を読む限り、海外組に安心してボールを預けようとする気持ちが強いらしい。たしかに俊輔にしろ、高原にせよ、相手選手からの当りに強くなり、ボールをキープする力は国内組より上だと思う。ところが、これだとなかなか点が取れない。

先日のキリン・カップでの、オシムの采配は興味深かった。とりわけ強豪といえるコロンビア戦は、ギャンブルと称したくなる不思議な陣容だった。いきなり海外組を4人全員先発させた。しかも稲本なんざトップ下に置かれていた。中盤にボールの出し手ばかり置いたせいか、スペースに走りこむ選手が欠けてしまった。しかも、遠藤や中村憲剛までが、ゆっくりボールを回そうとするから、点の取れる気配がない。中盤から積極的にプレスをかけるコロンビアに、何度と無くボールを奪われて、ゴール前に攻め込まれた。よくぞ、失点しなかったと思う。

後半、稲本に代わり入ったオシム・チルドレンの一人、羽生が前線のスペースを駆け回り、格段に得点への予感は高まった。しかし、そこはさすがに南米の雄・コロンビア。硬いディフェンスは崩れず、結局引き分けに終わった。前半、後半ともに無得点だったが、あきらかに後半のほうが良いプレーをしていたと思う。

はて、オシムは何をしたかったのだ?試合後のインタビューで上機嫌だったオシムが、妙に記憶に残る。私見だが、あれはジーコ・ジャパンへの決別であったのではないか。後半のサッカーこそ、オシムの目指すサッカーなのだと、選手特に海外組、サポーター、そして日本サッカー協会へアピールしたのではないか。

策士オシムがいよいよ本領を発揮してきた気がする。アジア杯での戦いぶりが、実に気になってきたぞ。
コメント
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