ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「金で買えるアメリカ民主主義」 (続き)

2007-06-16 14:56:17 | 
少し書き足りないので、続けます。

2000年前後からだと思うが、やたらと「グローバリズム」という言葉がTVや新聞、雑誌などで見かけるようになった。我々の業界にも、国際会計基準の導入といった形で現れた。予想外に急激な導入であったので、けっこうあたふたした記憶がある。

その後、表題の本を読み、たいそう刺激を受けた私は、AOLの掲示板上にある一文を書いたのだが、スレッド・マスターがA0Lを脱退時に削除してしまったので現在は残っていません。うろ覚えですが、こんなたとえ話を書きました。

冷たい喧嘩に勝って、サバンナの大半を縄張りとしたライオンが高々と宣言した。サバンナに住む動物たちは、今後「住民票」や「健康診断書」などは、すべてライオン語で書くこと。インパラ語やシマウマ語で書かれたものは認めない、と。この決まりに従わないと、サバンナで暮らすことは許さない、と。

ライオンたちは、ライオン語で書かれたカルテや、調査票を読みながら、今晩の食事のメニューを決めたいと考えていたようです。これまでのように、末キる手間も省けるし、一番おいしい部分を簡単に見つけることが出来る。まさに勝者の特権そのものです。

・・・まあ、ずいぶんと乱暴な喩えを書いたものだと思います。書いてから3年はたちますが、大筋では間違っていなかったと考えています。バブルの破綻後多くの日本企業の株式が外資に買われたのは周知の通り。その背景には、日本企業の財務報告が、国際会計基準に合わせて書かれていることと無縁ではありますまい。会計と異なり、わが国独自の基準に固執した税法も、徐々にですがグローバリズムへの摺り合わせをやらざる得ないようです。

現在の東京株式市場の株価水準が、1万8千円前後まで回復しているのは、この外資のおかげだと思います。その意味では、ブローバリスムの受け入れも、そう悪いものではないのでしょう。一方、物言う株主としての存在感を増している外資は、その本領を発揮しつつあるのも事実。三洋電機なんざ、虎の子事業の売却を迫られる有様。稼ぎ頭の事業部を売却したら、三洋なんざ赤字転落間違いなし、と思うが外資はお構いなし。

それでも、本のなかで紹介されている巨大外資の横暴ぶりに比べれば、はるかに大人しいものです。水や電気、ガスといった公共財まで投機の対象として、世界を蹂躙するグローバリズムの凄まじさは是非とも知るべきだと思います。破綻したエンロンという会社は知っていても、エンロンが何をしたかは、何故か知られていないのが不思議です。

残念なことに、日本という国はアメリカに従属することで利益を得ているのが現実です。アメリカがグローバリズムという錦の御旗を振りかざすなら、その下にひれ伏さねばならぬのが現実。ただ単純に反対しても無駄。ならば、そのグローバリズムを学び、調べ、対処法を考えて、しなやかにかわすことが肝要だと思います。

多分、表題の本を読めば反感、嫌悪が先立つこと多かれと思いますが、それを押しこらえて賢明な対処を考えることが大事だと思う次第です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする