現在、年金の記帳記録の不備から非難を浴びている社会保険庁。
実は数年前、ある社会保険事務所と争ったことがある。電話で管財人の弁護士の先生から相談を受けた。以前顧問先であった会社の梼Yによる整理を担当されているかたでもある。管財人によると、ある社会保険事務所から未払いの給与に関する社会保険の納付を迫られて困惑しているとの事。
会社が倒産して、裁判所に破産の申し立てがあると、管財人が選定される。管財人は、倒産した会社の財産や債務を調べて、財産を換金して、債権者へ配当する。その際には、税金などの公的な債務、労働債権(未払給与等)は優先される。当然に社会保険料の滞納も、公的債権として優先される。
しかし、未払いの給与分の社会保険料を額面通りに請求されるのはおかしくないか?弁護士でもある管財人の疑問はもっともなものだった。
例えば、100万円の未払い給与があったとしよう。倒産した会社の財産を整理しても、5%程度しか払えない。つまり、5万円を労働者に払うのが精一杯だ。ところで、100万円の給与に対する税金や社会保険はどうなるか。
正式には、やはり100万円に対して源泉すべき税金や社会保険は決定される。ただし、源泉票には未払いとして記載して、後々確定申告や更正の請求といった是正をする。しかし面倒なので、簡便に実際の支払額で源泉票を書いてしまって済ませることも現場ではしばしばある。所得税法は実額主義なので、脱税とされることはまずなく、税務署の職員は口先では文句をいいつつも、内心面倒が少なくて楽だと認めてくれる。
受け取る労働者にとっては、当然だと思う。100万もらえるはずが、5万円に減額され、しかも税金を100万に対応する金額で計算されたら堪ったものではない。
ところがだ、社会保険は違う。あくまで100万に対応する社会保険料の納付を強要する。これは社会保険の計算方法が、標準報酬に対する割合で決まることに由来するそうだ。しかし、現実に5万しか支給がないのに、100万に対応する社会保険(まず10万は超えます)を払えといってくるのだから、誰だって疑問に思うはずだ。支払い金額が確定した後に、減額して戻すなら分かるが、そのような制度はない。
冒頭の話に戻ると、やはり納得のいかなかった私どもの事務所でも、直接社会保険事務所と交渉したが、らちがあかない。どうやら社会保険制度そのものが、企業の倒産とか、未払給与の減額支給などを想定していないようだった。結局、実情を説明した上で、うちの所長が社会保険事務所の所長と直談判して、職権で徴収請求を辞めてもらった。
まだ社会保険庁が、現在のような非難を浴びる前の事件だったが、当時から私はおかしいと思っていた。どうみても、保険としての扱いではないと感じていた。思うに、社会保険は名目に過ぎず、実際は人頭税(はっきり言って暴論です)なのではないか?だからこそ、給与の減額支給に対して、実額に合わせて社会保険料を減額して戻すという発想がなかったのだと思う。
人頭税は言い過ぎにしても、社会保険税なのだから、いったん徴収したならば、それを何に使おうと勝手だと思っていたのだろう。保険なら将来の返戻に備えた投資を考える。しかし、税金ならば、それを使ってしまうのが社会への還流だと言い放てる。将来の年金支給は、新たな被保険者から取り立てて、充当すればイイと考えていたのだろう。
高度成長と人口増加が続くなら、問題なかったのだと思うが、低成長と人口減、高齢化社会を想定したものでなかったことが、社会保険制度の破綻の下地となったのだと思います。はい、既に破綻しています。現在の年金支給は、社会保険だけでは足らず、国庫からの補填により行われています。民間の保険会社なら、とっくに破産です。
厚生労働省は意地でも破綻(監督官庁の失政でおある)を認めないし、政府も社会不安を煽る(支持率低下が本音か?)として認めない。私は社会保険制度の維持は必要だと思うけど、いつまでも失敗した役所の所管を認めるつもりはない。既に破綻しているのだから、それに相応しい政治上の改変が必要だと思う。社会保険庁の民営化は、筋違いだと思います。
まさかとは思うが、民営化の後破綻させて、知らん顔するつもりじゃないだろうなあ~。杞憂なら良いのですがね。
実は数年前、ある社会保険事務所と争ったことがある。電話で管財人の弁護士の先生から相談を受けた。以前顧問先であった会社の梼Yによる整理を担当されているかたでもある。管財人によると、ある社会保険事務所から未払いの給与に関する社会保険の納付を迫られて困惑しているとの事。
会社が倒産して、裁判所に破産の申し立てがあると、管財人が選定される。管財人は、倒産した会社の財産や債務を調べて、財産を換金して、債権者へ配当する。その際には、税金などの公的な債務、労働債権(未払給与等)は優先される。当然に社会保険料の滞納も、公的債権として優先される。
しかし、未払いの給与分の社会保険料を額面通りに請求されるのはおかしくないか?弁護士でもある管財人の疑問はもっともなものだった。
例えば、100万円の未払い給与があったとしよう。倒産した会社の財産を整理しても、5%程度しか払えない。つまり、5万円を労働者に払うのが精一杯だ。ところで、100万円の給与に対する税金や社会保険はどうなるか。
正式には、やはり100万円に対して源泉すべき税金や社会保険は決定される。ただし、源泉票には未払いとして記載して、後々確定申告や更正の請求といった是正をする。しかし面倒なので、簡便に実際の支払額で源泉票を書いてしまって済ませることも現場ではしばしばある。所得税法は実額主義なので、脱税とされることはまずなく、税務署の職員は口先では文句をいいつつも、内心面倒が少なくて楽だと認めてくれる。
受け取る労働者にとっては、当然だと思う。100万もらえるはずが、5万円に減額され、しかも税金を100万に対応する金額で計算されたら堪ったものではない。
ところがだ、社会保険は違う。あくまで100万に対応する社会保険料の納付を強要する。これは社会保険の計算方法が、標準報酬に対する割合で決まることに由来するそうだ。しかし、現実に5万しか支給がないのに、100万に対応する社会保険(まず10万は超えます)を払えといってくるのだから、誰だって疑問に思うはずだ。支払い金額が確定した後に、減額して戻すなら分かるが、そのような制度はない。
冒頭の話に戻ると、やはり納得のいかなかった私どもの事務所でも、直接社会保険事務所と交渉したが、らちがあかない。どうやら社会保険制度そのものが、企業の倒産とか、未払給与の減額支給などを想定していないようだった。結局、実情を説明した上で、うちの所長が社会保険事務所の所長と直談判して、職権で徴収請求を辞めてもらった。
まだ社会保険庁が、現在のような非難を浴びる前の事件だったが、当時から私はおかしいと思っていた。どうみても、保険としての扱いではないと感じていた。思うに、社会保険は名目に過ぎず、実際は人頭税(はっきり言って暴論です)なのではないか?だからこそ、給与の減額支給に対して、実額に合わせて社会保険料を減額して戻すという発想がなかったのだと思う。
人頭税は言い過ぎにしても、社会保険税なのだから、いったん徴収したならば、それを何に使おうと勝手だと思っていたのだろう。保険なら将来の返戻に備えた投資を考える。しかし、税金ならば、それを使ってしまうのが社会への還流だと言い放てる。将来の年金支給は、新たな被保険者から取り立てて、充当すればイイと考えていたのだろう。
高度成長と人口増加が続くなら、問題なかったのだと思うが、低成長と人口減、高齢化社会を想定したものでなかったことが、社会保険制度の破綻の下地となったのだと思います。はい、既に破綻しています。現在の年金支給は、社会保険だけでは足らず、国庫からの補填により行われています。民間の保険会社なら、とっくに破産です。
厚生労働省は意地でも破綻(監督官庁の失政でおある)を認めないし、政府も社会不安を煽る(支持率低下が本音か?)として認めない。私は社会保険制度の維持は必要だと思うけど、いつまでも失敗した役所の所管を認めるつもりはない。既に破綻しているのだから、それに相応しい政治上の改変が必要だと思う。社会保険庁の民営化は、筋違いだと思います。
まさかとは思うが、民営化の後破綻させて、知らん顔するつもりじゃないだろうなあ~。杞憂なら良いのですがね。