ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

苦手なもの

2007-06-19 10:05:36 | 日記
差別されるのは嫌だと思う。

思うのだけれど、おそらく差別という感情はなくならないだろうとも思っている。身に覚えがあるからだ。

私の学生時代は、しばしば山にこもっていた。だいたいが2週間から3週間前後の長期登山であった。風呂なんざ、まったく無縁の生活だった。たまの停滞日に、沢筋で身体を洗えればいいほうだった。でも服は着替えない。本当に臭いゾ。

でも、この臭いは割りと平気だった。土と泥、汗と草木の汁の臭いが入り混じったもので、久々に下界に下りると、小奇麗な観光客から避けられたものだ。どうも、野生の獣の臭いがしたらしい。だからこそ、下山後の温泉は、堪えられない楽しみだった。

山はまだイイ。大学のトレーニングも酷かった。トレーニング・ウェアなんざ、一週間に一度洗濯すればいいほうだ。あまり酷いと女子部員から苦情が出るので、週末部室の脇で洗濯してたものだ。なにせ大学のグラウンドは、関東ローム層むき出しの地面だ。雨が降れば泥沼、乾けば舞い上がる埃と最悪の環境。おまけに汗と反吐の臭いがミックスされるから、悪臭として苦情が出るのは当然だった。

でもね、正直に言うと、あたしゃ結構平気だった。臭いとは思ったが、鼻は馴れるもんだと割り切っていた。女性からの苦情さえなければ、多分ほっといたと思う。自分は臭いには強い、などと勝手に思い込んでいた。

とんでもなかった。

大学卒業後、身体を壊し長期の療養をしながら続けた税理士受験。最後の科目の試験を終えて、合否の結果を待つ間、体力回復を試す意味でアルバイトを始めた。ほとんどが外車ディーラーのショールームの警備の仕事だった。宿直室があり、机に座って勉強できるので、ありがたいバイトだった。

ただ、時折派遣元から警備の応援を頼まれることがあった。あれは忘れもしない8月の暑い日だった。晴海の展示場で「コミケ」とかいうものの警備をして欲しいとの依頼で、応援に行った。雑誌などで紹介されていたので知ってはいたが、実際に「コミケ」を見るのは初めてだった。いや、驚いた。本当にアニメのキャラを真似したかっこうしている。

会場に入って、ウッと唸った。臭い!たまねぎが腐ったような酸っぱい悪臭が漂っている。あまりの臭さに吐き気を感じて、外へと逃げ出した。責任者に事情を話し、暑い外の整列警備に回してもらった。暑いが、こちらのほうがマシだ。

思うに、あの臭さは純粋な汗の臭さだと思う。ずっと屋内にこもっているうえに、風呂も入らず、シャワーすらたまにしか入らない人間の臭さだと思う。泥と埃のまじった臭いなら我慢できるが、あの汗だけの不健全さは駄目だ。我慢できない!

以来、どうもコミケとかアニメオタクとかには偏見がある。別にテカテカのロボットに夢中になろうが、どんぐりお目目の猫耳娘に欲情しようと構わないが、風呂ぐらい入れ。差別はいかんと思うが、不快なものは不快なのだ。できるなら秋葉原もあまり行きたくない街だ。臭うんだよね、あの酸っぱい腐臭が。

私は食わず嫌いなしで、何でも食べるが、臭いだけは駄目だ。海外旅行で、一人でヨーロッパの街をぶらついていると、時折悪臭を嗅ぐことがある。たいがいが、生活習慣が異なる外国人街であることが多い。一種独特な臭いだと思う。多分、差別という感情は、このような動物的感覚からも生じるのだと思う。

差別は良くない。が、体感的に感じる差別感を無くすのは、非常に難しいと思う。異なるものを排除しようとするのは、おそらく本能に根ざしたものだと思う。人間は、理性だけで動く生き物ではないと、つくづく思う。差別を無くすとは、本当に難しい問題だと思います。
コメント (4)
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