ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

厚生労働省の失政

2007-06-27 09:32:02 | 社会・政治・一般
TVはあまり観ないが、けっこうラジオは聞いている。事務所でBGMとしてFM放送を流しているからだが、案外重宝している。

先週のことだが、ラジオで特別養護老人ホームの運営を医療法人にも認めたと報じていた。アナウンサーが、これで介護老人施設の不足は解消されるでしょうとの厚生労働省の見解を淡々と伝えていた。

馬鹿言うもんじゃない!

事の発端は、医学的に入院が必要と思えない高齢者の長期入院問題だ。病院が老人ホームの代替となっていて、本当に入院が必要な患者が困る事態になっていた。この問題は、高度成長時代から続いている。

背景にあるのは、核家族化が進み、高齢者を家で介護できないことから、病院での介護を望む家族の意向がある。また、手間がかからず、安定した収入を確保できた病院側の事情もあった。

しかし、増大する医療費に根を上げた厚生省は、病院の老人ホーム化を食い止めることに本格的に着手した。医療法を改正して、療養型のベッド(35万床)の大幅な削減(10万床)を目指した。米の減反じゃあるまいし、お上の傲慢ここに極まれりだと思っていた。病院を放り出されたリハビリ難民が続出したことは、ニュースなどで報じられたとおり。

お役人の狙いは、自宅介護と介護保険老人施設への移転であったようだ。しかし、在宅医療が失敗したのと同様、自宅介護は難しく、また介護保険施設は完全に不足。頭のいいエリートさんたちの目論見は、ものの見事におおはずれ。

特別養護老人ホームの運営は、社会福祉法人にのみ認めていた従来の方針を覆して、元の鞘に戻す醜態ぶり。またしても、霞ヶ関のエリートさんたちの机上のプランは大失敗。療養型ベットの廃止に多大な出費を強いられた病院が、今どれほど不信感を募らせているのか分かっているのだろうか。

またしても・・・?

そう、近年厚生医療行政の分野での失態が頻発している。日本人は忘れやすく、マスコミはスキャンダルを追い回すことに集中しがちだから、この失政は誰も責任を追及しない。

ほんの20年くらい前までは、医者余りとさえ言われたが、現在医者不足は社会問題化している。担当医が確保できず閉鎖に追い込まれた診療科を抱えた病院は少なくない。小児科や産婦人科が大幅に減っていることは、ニュースなどでも大きく報道されているが、具体的な対策はまったくない。ついには地域医療の中心を担うはずの病院自体が閉鎖された地方もある始末。

看護師と準看の問題は、相変わらず先送り。医療過誤による訴訟の急増と、事なかれ主義の医療行政のミスマッチは医者からの行政不信をいやますばかり。医療費の増大に危機感を抱く一方で、製薬会社の利権保護に奔走する矛盾は、若手官僚たちからも不信感を持たれる始末。

一応書いておくと、前・小泉首相は厚生族。厚生族のボスだった橋本派の駆逐にせいをだしていた一方で、肝心の厚生行政は失態続き。おねだり妻で有名になってしまった某厚生官僚のスキャンダル追及には熱心だったが、その背後にある介護、医療の現場での矛盾拡大は、ほんの一部のマスコミが追う程度。私が嫌いな朝日新聞は、たまにいい記事書くのだが、続かない・・・

今、健康で元気な人には遠いニュースだとは分かっている。でも、自分が病気になっても、入院する施設がなく、自宅で苦しむばかりとなって、初めて分かるでは遅いと思う。医療行政は、素人には分かりづらいのは事実だが、あまりに無関心だと手痛いしっぺ返しを食らう。せめて、厚生族の国会議員に頑張って欲しいのだが、最近のメンバーみてると、頭がよくてお役人の主張に理解がある御仁ばかり。あたしゃ、不安と不満ではちきれそうですわい。
コメント (2)
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