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ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

クリスマスのフロスト R・D・ウィングフィールド

2009-06-08 17:15:00 | 
あ・た・り!

こいつはいけてる。かねてから、その評判は聞いていた。必ず読んでやると思い、部屋の片隅のダンボール箱に積んであった中から、ようやく取り出せた一冊だ。

半年前、100冊を超えてしまった本の山だが、ようやく半分を読み終えた。あたりもあれば、はずれもある。期待はずれに失望する一方、このような喜びにぶつかることもあるから堪らない。

人間にかぎらないが、社会集団を形成する生物たちの間では、中年をむかえたオスは、社会の中核として尊重される。集団社会のなかで、重要な位置を占めるはずだ。

ところが、人間社会ではいささか趣が異なる。とりわけ先進国では、中年のおじさんたちは冷遇されることが多い。おそらくは社会の変化の早さに遅れ勝ちになること。細分化され、社会機能の多様化された先進国では、昔ながらの仕事のやり方にこだわる中年男性がお荷物とみなされやすいことと無縁ではあるまい。

主人公であるフロスト警部は、現場での仕事にこだわり、書類仕事を嫌がる上に、下品で下ネタ好きで、お洒落や清潔さとも縁遠い。スマートな仕事と出世欲にもえる新人刑事には、ごく潰し以外の何者にも見えない。

こんな碌でもないオジサン刑事を主人公にして活躍させるところが憎い。実に憎たらしい。羨ましいほどに憎たらしいゾ。

スパイと刑事、分野は異なれど、一癖二癖の窓際族であることなどチャーリー・マフィンに近いが、フロスト警部のほうがはるかに下品だ。だから面白い。外見だけならコロンボ刑事と比べてもいいが、コロンボのほうが策士であり、やり口はあざといながらもスマートだ。それに比べてフロスト警部の行き当たりばったりの、あて勘捜査には呆れるばかり。でも、人物造形のおもしろさならフロストだな。

シリーズ化されているようなので、読みたいリストの上位に入れておこう。アァ困った。また読みたい本が増えちまったよ。嬉しいやら、悩ましいやら、困ったもんだ。
コメント (3)
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