ヌマンタの書斎

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FX投資家のための賢い税金の本 インヴァスト證券

2009-06-22 12:24:00 | 
貯蓄から投資への転換を、霞ヶ関が宣してから早や10年。

投資にもいろいろあるが、2年くらい前から目に付くのが「FX取引」という奴だ。TVでのCMはもちろんのこと、電車のなかの吊革広告から、新聞雑誌の片隅にまで広告を頻繁に目にする。

ちょっとした金融情報を扱う雑誌などにも、何度となく特集が組まれて、書店に並んでいる。実際にFX取引で儲けて、それを適切に申告せずに、後日税務署から脱税として尻尾をつかまれたカリスマ・トレーダーなるニュースを読んだこともある。私自身は、FX取引は投資というより投機、ぶっちゃけ賭博だと考えている。

表題の本は、FX業者が書いた本で、我々の業界では著名な税理士の先生が監修している。先月のことだが、その先生の講演を聴いてきた。

開口一番、その先生は「私、FX取引はやりません」と断言する始末。まあ、多分そうだろうと思っていたので、別に驚きはしないが、よほど周囲からやっていると思われていたらしい。

講演の内容は、我々専門家向きの話なので割愛するが、話の節々に「FXなんて危ないよ」との思いがにじみ出ているのが、妙に可笑しかった。もちろん、講演の会場には、この本を書いたFX業者の方も来ていたようなので、直接駄目とか危ないとかは言わない。このあたり、さすがに気配りはしている。

まあ、私としては改めてFX取引の仕組みや、課税関係を確認できたので十分納得のいく講演であった。ただ、講演後あらためてこの本を読んでみると、FX取引を事業として申告できそうなことが書かれていた。これはどうかと思う。

講演では、その先生は説明を回避していたが、FX取引はまず間違いなく雑所得になると私は思う。たとえ年間の取引高が億単位であったとしても、過去の商品先物取引の事業所得の申告が取り消された事例等を鑑みると、やはり事業所得としての申告は無理がある。たぶん、FX会社サイドの主張だろう。

それはさておいても、なんだってこんな危ないギャンブルが堂々宣伝されているのか不思議でならない。乱暴な言い方だが、FXなんて丁半博打と大差ない。しかも借金して勝負する。

ギャンブルなのだから、儲かる時は猛烈に稼げる。そうでないと、ギャンブルとしてはツマラナイことになる。そして、損する時も凄まじく大損をこく。

広い意味で投資には投機が含まれると思う。また投資は自己責任である以上、なるべく自由であるべきだとも思う。しかしながら、FX取引は危険過ぎる。だいたい通貨の上げ下げなんて、その道のプロでも分らない。現物通貨ならまだしも、借金しての取引はリスクが大きすぎる。

やるのは自由。でもね、借金してまでしてギャンブルするな、と私は思うぞ。
コメント
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