ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

キリンカップの役割

2009-06-03 12:22:00 | スポーツ
TV観戦だが、キリンカップの対チリ戦、対ベルギー戦を観た。いずれも4―Oでの勝利であり、マスコミは大勝だと騒いでいるが、如何なものか。

南米予選3位の位置につけるチリの実力は、本来あんなものじゃない。激しく、汚く、それでいて巧妙な南米サッカーの持ち味はほとんど出ない凡戦だった。1軍半どころか若手主体の2軍構成のチームでは当然だろう。

また、現在ヨーロッパ予選で苦闘中のベルギーも、出場選手は若手の控え選手中心であり、間延びした試合であり、勝ったことを素直に喜べるような試合ではなかった。

そのことは、なにより試合後の岡田監督のコメントにもにじみ出ている。これが南米や欧州のマスコミなら、試合に勝ったことより、このような気の抜けた試合を組んだサッカー協会幹部たちが批難の槍玉に上がるはずだ。

しかし、サッカーに関しては相変わらず低レベルな報道しか出来ない日本のマスメディアは、大勝を賛美して、最終予選の勝利は確実であるかのようなお間抜け報道ばかりしている。

キリンカップは冠スポンサーであるキリンの支援の下、日本サッカーのレベル向上を意図して汲まれた大会である。私はその意義を否定はしない。とりわけ、Jリーグが始まって10年あまりは、日本代表に勢いをつける、励みになる役割を果たしてきたと思う。

しかし、きわめてレベルの低かった当時と異なり、今の日本サッカーの実力は上がっている。過去には役に立ったかもしれないが、現在ではそうとは限らない。

もしチリのサンチャゴで試合をしたなら日本は勝てたのか?チリ国民の前では絶対に無様なプレーができないはずのチリと、しかも代表レギュラークラスと戦えば、おそらくは日本は勝てない。大敗の可能性すらある。

これはベルギーだって同様だ。もしブリュッセルの会場で試合をしたのなら、日本は引き分ければ上出来だと思う。そして、引き分けに終わればベルギーのマスコミは、自国のチームの不甲斐無さを、それこそ口汚く罵ったであろう。

日本に相手を呼んでの試合なんて、まさに親善試合そのもので、本気の試合にはならない。昔の日本代表なら、その程度の試合でも役に立った。しかし、もはやそんなぬるま湯につかっている場合ではない。

だからこそ、トルシィエもジーコも遠征しての強化試合に固執した。遠征先で苦しい思いをした日本代表は、そこで鍛えられて本選に挑んだ。オシムもそのつもりだったはずだ。

おそらくは岡田監督にもその思いはあったはずだ。しかし、岡田監督のネームバリューは低く、外交下手の日本サッカー協会のアマチュア幹部たちには、そのノウハウがない。だから、国内に相手チームを招待しての親善試合しか組めない。

日本サッカーの問題点が、あいかわらず世界基準に程遠いサッカー協会幹部であり、マスコミの報道のレベルの低さであることが再確認できたキリンカップでした。
コメント
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