やっぱりヘンだよね。
いろいろと物議を醸した人なので、ご存知の方も多いと思う。私は学者としての彼女の実績を評価するだけの見識は持ち合わせていない。ただ、おかしなエッセイを書いて、話題になっていたことは知っていた。
一言で言えば独特の一語に尽きる。でも、まったく理解できない訳でもない。人間なんて、二足歩行の類人猿の一種であり、その行動原理は本能に突き動かされたものであることだって理解できる。
ただ、動物の行動原理から人間を憶測する、その飛躍した発想が凄いというか、ヒドイ。全部を否定する気はないが、どうしても違和感が出てくるのを禁じえない。
読みながら、この違和感はどこから生じるのだろうと不思議に思っていた。私は著者の略歴なども、ほとんど知らない。だから、若干の偏見を込めての判断になるが、多分、この著者は浮いている人だと思う。
小学校でも大学でもいいが、ほとんどの人たちは子供も若者もグループを形成する。きっかけはなんでもいい。帰り道が同じであったり、同じ趣味であったり、動機は数多ある。
ところが、不思議なことに必ず、そのグループには入れない、あるいは入らないで一人でいる子供がいる。そのことを否定も批難もしないが、社会的生物である人間にとって、グループの構成員とならない事には弊害が多い。
もちろん弊害ばかりではないが、グループに入っていた人なら当然分るはずのことが分らないことが一番の弊害だと思う。反面グループに属することの弊害だってある。それは閉鎖性であったり、排他性から見識が狭くなることだ。
ただ、グループを構成すると、そのグループ内の感情には敏感になる。空気を読むと言い換えてもいい。これが出来ないと、グループから弾かれる。
一方、最初からグループに入らないことを選択している人もいる。別に敵対的でもなく、独善的でもなく、ただ単にグループに属することの煩わしさを拒否している観がある。
偏見あふれる私の独断だと、駐熄落jはこのタイプだと思われる。彼女はグループに属しなかったがゆえに、常識に迎合しない独特な考えを育むに至ったのだろう。それが学者としての彼女のベースになっていると思う。
ここまで独特な考えを呈示してのける人は稀だ。学者としての論文はイザ知らず、何冊も出された一般向けの本は、多くの人の反感と敵意を買ったであろうことが、私でも分る。
グループ内の一体感を共有したことのない人だからこそ、これだけの事が書けるのではないか。動物の行動原理から、人間の行動を憶測する手法は悪くないと思う。だが、自分の思考にはまりすぎて、深く狭く考え込み過ぎていると、私には思える。
そんな訳で、あまり共感は出来ない。でも、ある種の反面教師というか、思わぬ角度からの指摘が、物事の新しい側面を描き出すのに有効である可能性は呈示できるかもしれない。
興味がありましたら、読んでみるのも面白いと思います。もしかしたら不快かもしれませんがね。