子供の感覚って鋭いと思う。
知人の子供が楽しそうにアニメの話を語っていた。ポケモンがどうこう、ナルトがあれこれ、ルフィー(ワンピース)がどうしたと、ほとんど一人語りの世界に浸っている。まァ、本人が楽しげなのでいいか。
車を運転しながら、フンフンと聞き流していたが、ふと気づいてブリーチはどうしたと訊くと、話を止めて少し沈黙してから一言「ブリーチは嫌い・・・」
なんでだろうと、妙に気になった。実は週刊少年ジャンプで連載されているげ原作の漫画のほうは、ほとんど読んでいなかった。当初は読んでいたのだが、そのうち読まなくなっていた。
でも、今でも連載されているし、アニメとして放送もされているので、相当な人気はあるのだろうと思っていた。たしか知人の子供も少し前まで、TVでブリーチを見ていたはずだ。
なんで、嫌いになったのだろう。
そこで、久々に読んでみることにした。読んで、すぐに気がついたのは伏線の多さだ。ストーリーの背景となる設定が、少々難解に過ぎる。単にバトルの場面だけだと、分りやすくスタイリッシュな絵柄なのだが、丁寧に読み込むと、いささか集中力を要する。
だが、漫画馴れしている今時の子供ならば、この程度は流せるはず。それよりも、信頼を裏切る登場人物が多すぎることが、子供が厭う理由ではないか。
優しそうで、物分りの良さそうな人物が、裏で陰謀を画策し、非情な姿に変貌しての裏切りと敵対。この作品に頻繁に描かれていることが、子供には辛いのだと思う。
もちろん、友情や信義の大切さも描かれている。しかし、どうしても裏切り者が敵として登場することが多い。これは、これで幼い子供には辛い。
多分、読者を少し高い年齢(中学生以上か?)に設定しているのではないか。
率直に言って、子供向けならば敵は単純に敵でいい。年齢を重ねるに従い敵には敵の事情があり、時としては友を裏切り、味方を騙しても守らねばならぬ事情があることも分ってくる。
単なる敵よりも、裏切ったかつての味方のほうが、敵としては激情を駆り立てる存在となる。これは、ある程度心が成長してからでないと、理解することも納得することも出来ないと思う。だから、幼い子供には辛いのだろう。
少年漫画であるならば、そのあたり配慮して欲しいと思うが、少年漫画を読むのは少年だけではない。そのあたりの難しさがあることは、私でも分るので一概に非難はしない。事実、私はそれなりに楽しめた。
でも、少年漫画ならば、心を傷つけるような残酷な場面は避けて欲しいな。あれは体の傷よりも辛いから。