消費税を払うのは辛い。
私の場合、消費税は年二回に分けて払う。9月に前年の消費税年額の半分を払う。これを予定納税という。残りは来年の確定申告時に年税額を確定して、そこから予定納税を差し引いた残額を払う。
簡易課税制度を選択しているので、事前にその数字は分かっている。分かっていながら、いざ納付の段になると資金繰りに窮する。毎月の売り上げの内、一定額をためておけばいいだけと分かっている。
分かっていながら使ってしまうのは、日々の資金需要に充てざるを得ない厳しい状況であるからだ。この消費税は、来年から8%となり実質6割方上昇する。今から頭が痛い問題である。
しかし、今後の国家歳入の中心は、法人税や所得税といった所得(儲けや、利益)に対して課税する直接税ではなく、取引段階での課税である間接税に変わっていくのも必然だと理解している。
別に大手マスコミのように記者クラブで配布される資料を丸呑みしている訳ではない。日頃の業務から、そうならざるを得ないことを実感しているからだ。
税理士という仕事柄、人様の支払った領収証を目にすることが多い。だから分かるのだが、近年その人の所得と支払っている領収証、すなわち必要経費のバランスが微妙に崩れていることに気が付かざるを得ない。
収入から必要経費をマイナスして所得が算出されるのだが、下手すると収入以上に、領収証を持ち込んでくる。これでは赤字なのだが、中身を精査してみても、必要経費として妥当なものがけっこうある。
普通だと業務に関係しない私的な領収書は必要経費に該当しないので、これは省いて改めて必要経費を算出する。ところが、収入が落ちているのに、その収入以上の金額の支払い、すなわち領収証を顧客は持ってくる。
その領収証が本当に税務上の必要経費に該当するのか検討する必要がある。そこで見積書やその支出の中身を聞き出して判断するのだが、概ね必要経費に該当するものが少なくない。
それが収入以上にあるのだから、その支出を支払った原資を問い質すと、預貯金を取り崩したり、親からの援助であったり、所得とは無関係の資金が多い。過去の儲けの累積でもある預貯金はともかく、親族からの支援は所得ではなく、贈与もしくは寄付の問題となる。
贈与税には、生活資金や日常生活の扶助に関する非課税規定があるので、概ねこれに該当する。が、大規模な修繕などの支出に充てるための親の援助となると、後々に問題になることもある。だから中身をよく聞き出す必要がある。
親からの援助は、贈与税や生前相続の問題こそあるが、所得税や法人税の課税対象ではない。つまり、これまで日本の国家財政を支えてきた直接税では捕捉できない所得に他ならない。これが年々、増えているように思える。
率直に言って、近年法人税や所得税の申告は低調であることが多い。その一方で、所得が少ないのに、その所得以上の買い物をするケースを散見することが増えた。
これは、日本の経済が儲けによる所得(利益)だけでなく、ストック(貯蓄等)により大きく動いていることを示している。また近年、外国からの投資や、日本に滞在している外国人による買い物などが、日本経済に大きく寄与しているからだとも云える。
もはや法人税や所得税といった直接税では、日本経済は捕捉しきれないのが現実だ。だからこそ財務省は大型取引税としての性格をもつ消費税の増税に力を入れるのであろう。
来年の4月からは8%。その一年半後には10%となる予定であり、この方向はもはや揺らぐことはないと私は考えています。私としては、この先は消費税納税用の貯金を別建てでする必要があると考えています。小規模事業者には辛いです。
今、私の手元には東京税理士会に提出する予定の意見書のアンケートがあります。出さないつもりでしたが、やはり書くことにしました。但し反対意見ではありません。小規模事業者向けの消費税納税負担を軽減する「限界控除制度の復活」を書いてみるつもりです。
理由は簡単で、現在税務署を悩ます税金の滞納は、件数的に消費税が一番多く、しかも小規模事業者が多い。末端の事業者には辛い税金なのですよ、消費税は。まァ、東京会がなんと言おうと、財務省が首を振る可能性は低いと思いますが、黙っているのも癪なので出すつもり。
たぶん、数年後には今以上に滞納事案に悩まされると思いますね。