ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

日頃気が付かないありがたみ

2013-11-26 12:06:00 | 社会・政治・一般

政府が必要な存在であることを自覚することは珍しい。

東日本大震災の際、世界はその災害の大きさに驚くと同時に、日本人の秩序ある態度に驚嘆と敬意を表したことは何度となく報道されている。災害の恐ろしさはともかく、災害時に見せた日本人の大人しさには、いささか気恥ずかしさと違和感を感じた。

災害時に冷静さを保つことは生き延びるために必要な行為だし、特段誇るようなことでもないと思っていた。むしろ政府の言いなりになる大人し過ぎる、自主性のない子羊に過ぎないのではないかと自虐的にさえ思っていた。

でも、それは外国から見ると、だいぶ違うらしい。

今月フィリピンを襲った台風による高波で、レイテ島を中心に壊滅的な被害が出たことは既にお聞きだと思う。私の許にも、被害への援助の連絡があった。ただ、妙だったのは、その後にフィリピン政府への援助や寄付はしないで欲しいとの連絡が来たことだ。

事情を訊いたら、現在レイテ島の災害救助はアメリカ軍のコントロール下にあり、フィリピン政府は事実上なにもしてないらしい。だからフィリピン政府に援助物資(シーツや衣料品)を送っても、途中で抜かれてしまい、レイテ島の被災者には届かないらしい。

御存じの方もいると思うが、フィリピンはカトリック教徒が大半を占める島国だが、レイテ島など北部の島はイスラム教徒が多く、必ずしもマニラ政府とは円滑な関係にない。マニラに復興のための本部を設立しても、レイテ島との円滑な連絡さえ上手くいってないのが実情らしい。

如何なる経緯かは知らないが、現在はアメリカ軍が事実上レイテ島の救援、救助、復興を仕切っているのが実情だという。武力を持つ軍隊でないと、とてもじゃないが当地の治安維持は出来ず、救助も復興も難しい。

しかし、当のフィリピン国軍はレイテ島では評判が良くない。これはイスラム武装勢力との紛争が少なくないため、致し方ない部分があるが、このような緊急時でさえ地元民と軍との関係は良好ではないという。

だから、かつて駐屯していたアメリカ軍が主体となって救援を仕切っているらしい。さりとて、自国の災害の救助と復興をアメリカ軍が主体となっている事実は、当のフィリピン国民にとっては複雑な気持ちであるのも確か。

私にこの情報をくれた方は、某NGOの主宰者の一人だが、配偶者がフィリピーナなのでこのような新聞TVには出ない微妙な情報を得られるのだろう。このNGOが集めた衣類やシーツは、このNGOを通じて直接レイテ島に米軍機で送ってもらう手はずになっているそうだ。

先日、私も車に衣類等を詰め込んで渡しにいったが、福生の米軍基地近くの広場は在日のフィリピン人で一杯であった。まァ、実に喧しく、泣いている人、怒っている人、宥める人と大混乱。

その際、知り合いの社長さんがいらしたので、雑談に応じた。その際感じたのは、自国の政府を信頼できない彼らの複雑な心境であった。

たとえ異国の地にあろうと彼らの郷土愛は強く、自国に誇りを持っている。それでいながらその政府を信用できないがゆえに、外国の軍隊に郷里の救助をお願いする複雑な気持ち。それがあの喧騒につながっているのだろう。

振り返ってみると、東日本大震災の際にも復興救助のための義捐金の配分や、公共事業支出の不鮮明さが問題になった。だが、概ね大半の義捐金は被災者に渡り、わずかではあっても被災者の一助になったと思う。

また復興援助を名目にしただけの妙な公共事業への転用もあったが、それを公に問題にするだけの良心は官民ともに持ち合わせている。決して十分だとは思わないが、一応は日本政府を信用している。

どうも、これは世界的にみれば幸せなことなのだろう。

現在、日本に滞在し生活している外国人は100万をはるかに超える。彼らの世界は口コミがなによりも優先される。もちろんインターネットやTVなども使うが、交際電話やEメールなどを駆使した自らの情報網を最も信頼している。

逆に政府の公式発表に対する信頼度は極めて低い。これはシナが特に顕著であるようだ。現在、シナの人たちが日本で不動産を買い漁っているが、これは本国だと何時政府に財産を没収されるか分からない不安が背景にあるらしい。

もちろんシナの人たちの愛国心は強い。きわめて誇り高い人々でもある。しかし、私の見るところシナ政府に対する信頼度はきわめて低い。むしろ嫌っている感さえある。それでいて、外に対して、とりわけ日本人に対して誇らしげにシナの強勢ぶりをアピールしたがるが、個人的な関係になるとむしろ日本への親密度を強くアピールしてくる不思議な人々でもある。

日本人は、日本政府が日本国民のために奉仕してくれることを当然のことだと信じきっている。その甘えを裏切られると感じると、反日自虐の姿勢に転じることがあるが、それでも心の奥底では日本を信じている。だから外国に移民しようなどとは考えもしない。

でも、世界の少なからぬ人たちは、必ずしも自国の政府を信用せず、生活のために異国に移ることも辞さない。郷土愛、民族愛は決して失わないが、政府に対する信頼は乏しい。

日本人はもう少し自国の政府を誇ってもいいと思う。まァ、個人的には小さな不満は沢山ありますがね。

コメント (2)
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