ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

タイタニア 田中芳樹

2013-11-25 12:10:00 | 

買おうか、買うまいか未だに迷っている。

今月初めだったと思うが、新聞広告に田中芳樹の新作が出ていた。あの20年以上も放置された長編SFである「タイタニア」の第四巻である。

気に入った作品は何度も読み返す習慣がある私だが、最後に「タイタニア」を読んだのは10年以上前だと思う。にもかかわらず、未だにストーリーを覚えている。イドリスとアリアバートの罵声の浴びせ合いや、リディア姫のしゃまっくれた科白や、ヒューリックの飄々とした軽口に潜む固い決意も覚えている。

こんな作品、そうそうあるものではない。極めて嗜好性の偏った私の記憶力ではあるが、これだけ印象的な登場人物たちと、その科白の洒脱さ、予想を嬉しくも裏切ってくれる変幻自在のストーリゆえに、未だに記憶は劣化せずに脳裏に留まっている。

早く続編が読みたくて仕方なかった。にもかかわらず、まったく音沙汰なし。創竜伝の後書きに作者がリディア姫の口を借りて「もう少し待つのじゃぞ」と書いてから、やはり10年は経っている。

いい加減、怒るぞ。

だから読みたくて仕方ないのだが、未だに書店で手にとることさえ躊躇っている。これだけ長い事放置されたファンの怒りは、そう簡単には収まらない。どうしてくれようか。

未だに怒りが溶けないので、私は依怙地になっている。いっそ古本屋の店頭に並ぶまで待とうか。

幸か不幸か、家には未読の本が再び山脈をなしている。ファンを裏切り続けた怠惰な作家を優先すべき理由はない。そんな訳で発売以来数週間、私は未だに買っていない。

でも本屋を巡回するたび、その視線が無意識に泳ぐのは避けられない。もちろん視線の先には「タイタニア」が棚積みされている。もうだいぶ残り少ない。やはり売れているのだろう。

嗚呼、じれったい。

コメント (2)
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