お見通しだァ~と叫ばれても困る。困るのは、中身ではないく、その発言に迫力がないからだ。
この映画、TVドラマからのものらしいが、例によって私はまったく観ていない。ただ、けっこう人気があるシリーズらしいことは、なんとなく知っていた。
で、今回初めて観たのだが、主演の女優さん叫ぶのが似合わない。むしろ淡々と落ち着いて話すほうが迫力がある。大声で叫ばれると、説得力よりもコミカルさが浮き出てしまい、まるで迫力がなく、むしろ笑ってしまう。
もっとも、それを狙っての演技であるらしいことは、なんとなく分かる。仲間由紀恵というそうだが、黙っていても目立つ美形であるが、どうも押しが弱いというか迫力に欠ける。
だからこそなのだろうが、この作品では敢えて三枚目路線を出すことで、演技に幅を持たせているようだ。芸能音痴な私の評価なので、適当な評であるのは承知しているが、正直言えばけっこう楽しい時間でもあった。
もう一人の主役である阿部寛のほうが、本来演技力に幅がある人だと思うが、ことコミカルさに関しては仲間嬢に喰われていたように思えた。本来迫力があってしかるべき科白が、仲間嬢の手にかかるとコミカルなものになってしまう。
だからこそ、楽しい映画であった。
それにしても霊能力を売りにした詐欺の多い事、呆れてものが言えないほどだ。私も長い事療養生活を送っていたので、胡散臭い霊感治療とか神器による治療とかの売りつけを受けた覚えはある。
人は心が弱っていると、何かにすがりたくなり、元気な時なら受け付けない詐欺商法にひっかかる。幸か不幸か、私は十代半ばで神とか宗教とは一線を画すようになっていたので、この手の霊感商法に引っかかったことはない。
でも騙されてしまう人の気持ちは少し分かる。分かるだけに、霊感商法などへの憎しみは強い。なにが嫌らしいって、病気などで心が弱っている人は藁にもすがる思いで助けを求めている。その弱さに付け込んで騙すのだから、その悪質さには怒りが湧いてくる。
率直に言って、日本の刑法は詐欺に対して甘い。騙される方も悪いと、上から目線で蔑んでいる気がしてならない。騙される側の愚かさや、立場の弱さを慮らない冷たい高慢さがあるように思えてならない。
騙された被害者は、自分も悪かったと自らの愚かさを恥じて、不満も言えずに口ごもる。詐欺師に騙され、被害者なのに馬鹿にされ、あげくに裁判官や検事からまで蔑まされる恥辱に耐えねばならない。
なんかおかしくないか?
憲法9条の改正なんぞよりも、刑法の改正のほうがよっぽど必要だと思いますね。