ヒーローだって、いつかはオジサンになる。
年をとれば、否応なしに思い知らされるのが年齢による衰え。かつてはスーパーヒーローとして大活躍したものの、最近は失敗ばかり。ついにスポンサーから見放されての二部落ち。ついにはヒーロー失格の烙印を押されての放逐。
今じゃ流しのタクシー運転手。娘からは突き放され、かつての仲間たちとは顔を合わせずらい。
TVを見れば、かつての相棒は新しいヒーローを連れての大活躍。冷たい風が身に沁みる夜更けである。
同行した子供たちは、クスクス笑いながら映画を楽しんでいるようだが、あたしゃ素直に楽しめない気分。他人事じゃないよなァと、一人呟く哀しい中年である。
まァ、きっと最後はハッピーエンドさと分かっていたし、事実その通りのエンディングなので一安心。
でも一人帰宅した後で、図らずもしみじみと珍しく一人酒。といってもアルコールを抜いたホット・ワインなのだがね。
なんだって、こんなセンチな気分に陥ったかと云えば、原因は雪かきである。若い頃から足腰が頑丈なのが自慢だった私は、雪が降れば先頭きって雪かきに奮闘していた。隣近所は高齢者が多かったので、いつも感謝されていたものだ。
しかし、昨年の大雪の際は長野県から帰京できず、雪かきに参加できなかった。だから今回の大雪では、張り切って雪かきをしたのだが、そこで分かったのは足腰の筋肉が大幅に衰えていることだった。
おそらく昨年の心筋梗塞による入院が大きく影響している。あれ以来運動を控えていたのは確かだ。でも、まさかこれほど衰えているとは思わなかった。私に代わって最近引っ越してきた若い人が大活躍であった。助かるし、嬉しいのは事実だけど、この寂しさ、どうしてくれようか。
そんな訳で落ちぶれたヒーローであるタイガーにえらく感情移入してしまった次第。いい年こいて、アニメのヒーローに思い入るなんて馬鹿らしいとも思うが、それでも最後にタイガーが活躍した時は嬉しかった。
きっと私だってトレーニングを再開して体力を戻せば、もう少し雪かきも活躍できるはずなんだけどね。