ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

プロレスってさ マサ斉藤

2014-02-12 13:18:00 | スポーツ

あらら、マサさん正体ばらしちゃ駄目でしょう。

きっとアナウンサーは言いたかったに違いない。でも言えなかった、誰も文句言えなかった。だってマサ斉藤だもの。

プロレスを引退してから、リングサイドで解説者として現れたマサ斉藤は、ことレスリングに関しては適切な解説であったと思う。ところが、隣席のアナウンサーが絶句するほどの珍言、暴言数知れず。

特に覆面レスラーを本名で呼んでしまう癖には、アナウンサーだけでなく他のプロレスラーも閉口していた。でも誰も文句言えない。だってあのマサ斉藤だもの、仁王様だもの。

なにせ東京オリンピックのレスリングのフリースタイル部門に出場したほどの筋金入りの実力者。日本プロレスが崩壊して後、アメリカを主戦場で活躍し、最も成功した日本人レスラーの一人といっていい。

日本車がアメリカで売れまくり、GMやクライスラーが危機に陥ったアメリカ北部において、マットの上で金髪碧眼のベビーフェイス(善玉)レスラーをいたぶり、踏み付けながら「HONDA、TOYOTA、No1!」と叫んで観客を興奮の坩堝に追いやった筋金入りの悪役レスラーであった。

これは単に演技力があるだけでは駄目で、善玉レスラーから敬意を抱かれるくらいの実力がなければ出来ない。レスリングの実力だけでなく、喧嘩根性もなければ異国での悪役レスラーは務まらない。

そのマサ斉藤がアメリカの刑務所にぶち込まれた。警官十数名と乱闘になり、ぶちのめしてしまったというから恐ろしい。実はレスラー仲間のケン・パテラが本来の首謀者らしいのだが、パテラ本人はさっさと逃げ出し、何も知らずに残されたマサ斉藤がいきなり襲ってきた警官たちに立ち向かっただけなのが真相らしい。

刑務所を出た後、怯えるケン・パテラになにやら制裁を加えたらしいが、これは内緒。事情を知るバーン・ガニア(北米地区の大物プロモーター)やニック・ボックウィンクル(AWAのチャンピオン)らが事態を治めてしまったので、実際のところは分からないが、この務所帰りのマサ斉藤が同業のプロレスラーから恐れられたのは事実。

ちなみにアメリカでの刑務所収監時期は、その腕っぷしの強さで刑務所内のボスになり、トレーニングジムを独占的に使い、以前よりも筋肉モリモリになって出所した御仁。仁王様を彷彿させる面構えも相まって、誰も正面切って喧嘩を売る気にはならない。

50近くになって日本へ帰国し、長州らの参謀として活躍したり、猪木と巌流島で野試合をしたりしてその実力者ぶりを知らしめた。実際年齢が信じられないほどの引き締まった身体であり、若手レスラーの生きた教本的存在でもあった。

ところが引退して、リングサイドで喋らしたら、言っちゃいけないことまでペラペラ。なまじレスリングの解説が適切なだけに性質が悪かったが、面白かったのも事実。あたしゃ、解説を聞きながら爆笑してました。

でもね、覆面レスラーの正体ばらしちゃ駄目ですよ。困った人でしたが、忘れがたいプロレスラーであったのは確かですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする