水曜日の産経新聞に気になる記事があった。
中国共産党の幹部に自殺や不審死が相次いでいるとの報である。私の知る限り、シナ人は生きる気力が最も逞しい民族であり、滅多なことでは自殺なんてしない。するとしたら面子を著しく傷つけられた時ぐらいで、間違っても上司を守るための自殺なんてしない。
如何な境遇にあっても生きて生き抜く。そのためなら、惨めな敗走も辞さない。戦争の時だって、敗走に敗走を重ねようと、最後に勝てばいい。うろ覚えだが、毛語録に記された詩には、冒頭に戦いから逃げる場面を描いてあったことに衝撃を受けた。
最初は負けたって、最後に勝てばいい。だから中国共産党に率いられた軍隊は、日本帝国陸軍から逃げに逃げ、大陸を4000キロ逃げ回り、最後には大陸の覇者として君臨している。
十代の頃、毛語録の読書会で聞かされたシナの戦争に対する考え方に衝撃を受けたものだった。ちなみに日本軍では「負ける」とか「逃げる」なんて口にしただけで非国民扱いであり、軍人として許されざることとされていた。しかし、シナ人は最初から敗走しても、最後に勝てばいいと考える。
シナ人の生き抜く底力に戦慄を覚えたものである。そのシナ人の幹部たちの自殺なんて、あの大躍進(大失敗に終わったが)や紅旗兵、四人組の時代にさえ、滅多に聞かなかった。
どうやら習政権の下で、凄まじい権力闘争が行われているらしい。反腐敗運動の成果だとの記事も目にしたが、それはあまりに甘すぎる認識だと思う。シナ人の面の皮は、ゾウの皮膚より厚く、贈賄疑惑だの公金横領疑惑程度で自殺するほど繊細な神経なんざ持ち合わせていない。
おそらく、この権力闘争はまだ続いていると思われるが、いったい誰が最後に勝者として立ち上がるのか。
シナの歴史を振り返れば分かるが、国内で熾烈な争いをしている時は、外部に対して積極的に動くことはない。問題はその後だ。闘争の勝者として生き残った新たな権力者は、自らを正当化するためにも外に向かって戦いを仕掛けることが少なくない。
外国との戦いに勝って、自分が権力を握ったことが正しいと国内に宣伝するのが目的だ。シナにおける英雄の条件は、まず第一に外敵を唐オたことである。それは今も昔も変わらぬ。
外敵とされる周辺国は、このシナの横暴に悩まされ続けてきた歴史を持つ。とはいえ、現在のシナの軍事力では、到底アメリカには抗しえない。だから表面上、アメリカとは対立を演出しても、実際の戦いはしないと予想できる。
そうなると、アメリカが乗り出さず、しかも勝てば国民が大いに溜飲を下げる外敵はどこか?
本命は日本だと言いたいところだが、アメリカが日本列島を防衛圏と定めているので、手を出しにくい。またプーチンのロシアとは、アメリカをけん制する意味でも戦いは避けたい。
意外に思う人もいるだろうが、私は北朝鮮ではないかと思っている。シナの人民解放軍の主力である北方軍は、伝統的に北朝鮮軍とは親密であり、血の同胞とまで称して陰に日向に助けてきたのは事実だ。
ただ、現在の習政権は南方出身者が大半であり、北方軍とは必ずしも良好な関係にない。もし、習政権が権力闘争の勝者として生き残ったのならば、その刃は朝鮮半島に向けられる可能性は低くないと、私は考えている。
もちろん、南沙諸島や西沙諸島への軍事進攻の可能性もある。しかし、アメリカ民主党が中間選挙で敗北し、次期政権が共和党である可能性が高い以上、アメリカ軍の介入の可能性は低くない。
そうなると、現在習政権が密接な関係にあるとは言い難い北朝鮮は、絶好の標的だ。既に北朝鮮国内には中国企業が進出しており、鉱山開発など資源開発に乗り出している。
この利権を確保する意味でも、北朝鮮を手に入れる価値はある。ただ、伝統的に非常に反発心の強い朝鮮民族なので、直接統治ではなく傀儡政権の樹立による間接統治を目指す気がしている。
現時点で、三代目の金正恩に強力な指導力があるようには見えず、シナに対しても好意的とは言いかねる態度をとっていることも一因となる。もちろん韓国は大反対するだろうが、アメリカ軍の支援なしでシナに抵抗する力がないことも分かっている。
忘れてはいけないのは、北朝鮮は核兵器の保有国であることだ。シナは隣国に核兵器があり、それがシナに向けられる可能性がある以上、それを安易に容認するとは思えない。今まではシナの人民解放軍北方部隊が、北朝鮮の軍部と密接であったから、なんとか容認できた。
だが、もしシナの次の権力者が人民解放軍北方部隊と対立する立場であったら、果たしてどうなるか。
あまりに不確定な要因が多すぎるので、これを予測とは言わない。むしろ、将来ありうべき、あるいは想定しておくべき状況として、対応を考えておく必要はあると思うのです。当たって欲しい予測ではないのですがね。