ヌマンタの書斎

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電力買い取り制限に思うこと

2014-11-11 12:09:00 | 経済・金融・税制

分かっていたはずだ。

再生型エネルギー利用の一環として、太陽光発電などで得た電力を電力会社に買い取らせる制度が出来てわずか数年。原発の停止により、たしかに電力は不足していた。

しかし、高コストの輸入した重油やLPGガスを燃やして発電して電力不足を解消した電力会社が、ついに電力買い取りの制限を打ち出した。

当然であろう。

元々、採算性を考慮したものではない。それどころか、ドイツの先例をみれば電力の高値買い取りは必ず破綻すると分かっていたはずだ。

しかし、当時福島原発事故を契機とした原発ヒステリーを起こしていた民主党政権は、この電力買い取り制度を強行した。ドイツの先例を知っていて、報道で警鐘を鳴らしながらも、反原発に気を取られたマスコミは、この安直なアイディアを実行してしまったことを見過ごした。

再生型エネルギーとして、太陽光発電は最も不安定であり、また発電効率も悪い。しかし、一番簡単に設置できるがゆえに、日本各地で太陽光パネルの設置がブームとなった。行政がこれに補助金をつけたものだから、採算性を甘くした計画が横行していたのは、私も何件もみている。

事業としては破綻することが分かっていた。にもかかわらず、反原発の風潮に竿されて日本各地に太陽光パネルは設置された。そして案の定、円安による輸入原油の価格上昇に耐え切れず、電力会社は買い取り制限を宣言することになった。

執拗に繰り返すが、これは予測されていた結末である。分かっていたのだ。分かっていながら、反原発とか再生型エネルギーという言葉に騙されていた。採算の採れない事業は、必ず失敗する。ただ、それだけのことだ。

太陽光パネル発電を推奨した馬鹿どもと、それを信じてしまった愚民は、その愚かさをきつく噛み締めるべきだ。分かっていながら、反対しなかったマスコミも同罪である。

私は今でも覚えている。わざわざドイツまで取材に行き、そこで電力買い取りが破たんした惨状を報道したマスメディアが複数あったことを。それを知りながら、敢えて放置して反原発、再生型エネルギーの痴夢に酔い痴れた馬鹿は誰であったのか。

実を云えば、これは最初のケースではない。あの70年代の石油ショックの際にも、石油以外のエネルギーに奔走し、石油が値下がりした途端に破綻した企業が幾つもあった。

エネルギーの多角化は、社会の安定には有益なのだが、コスト面で採算がとれなければ事業として継続は出来ない。それを分かっていながら、同じ失敗を繰り返している。

太陽光パネルの設置のため、多大な借財を背負った方には申し訳ないが、私はあまり同情できない。発電事業には素人の私でさえ、失敗することが予測できたビジネスモデルを信じて決断したのが悪い。これでは自業自得としか言いようがないではないか。

でも、あまりに酷なので、付け加えておく。いずれ破たんする可能性を知りながら強行した民主党政権、失敗した実例を知りながら、それでも反対しなかったマスコミ。彼らもまた共犯者であるはず。

まァ、奴らは責任はないと逃げるだろうが、有権者としては忘れずにいて欲しいものである。来年は選挙だ。出来もしない理想ばかり夢見て、冷徹な現実から目をそむけるような愚者は必要ない。

今回の事件は、その愚者が何をしでかしたのか、良く分かる事例でもある。せめて、同じ過ちを繰り返す愚は避けて欲しいものである。

コメント (2)
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