朝夕は、ほぼ週五日以上、家で自炊している。
といっても料理が好きな訳ではない。むしろ食べるのが好きなのが本音である。ただ、若いころに難病を患い、その治療に使った薬の副作用とかもあり、ある種の食事療法を自己流にやっていた。
別に難しいことではなく、ただ普通よりも塩分を控えめにしていただけだ。これは外食では難しい。外で食べると塩分の摂取量は格段に増える。それが分かっているので、自宅での食事を多くしていた。
もっとも母が生きていた頃は、どうしても塩分が多めになることがしばしばあった。これは一概に母を責められない。日中、働いていると、どうしても身体が塩分を欲しがる。肉体労働で汗を流していたのなら、それは必然であり、必要でもある。
しかし、デスクワーク中心だと、それほど塩分は必要としない。厄介なことに、私はデスクワークと外回りの両方をやっており、一日事務所にこもる日もあれば、終日顧客回りで疲れて帰宅することもある。
当然に後者の場合だと、身体が塩分を欲しがる。しかし、デスクワークだけで終わった日には、それほど塩分は必要としない。母はどちらかといえば、私が疲れていた時を基準に料理を作っていたので、デスクワークの日だと料理が塩辛く感じてしまう。
これはなかなかに難しい問題で、ときおり母に文句を言っていたが、些かお門違いなのは分かっていた。母が亡くなってからは、自分で料理しているが、塩分の取り過ぎ以上に困ったのは、ボリュームの問題である。
率直に言って、一人分の料理を美味しく作るのは難しい。特に煮込んだりする料理は、ある程度量を作らないと、なかなか美味しくならない。だから、どうしても多めに作ってしまう。
しかも、一人暮らしの気ままさで、自分の好きなものばかり、沢山作ってしまう。これが近年体重が増加した大きな原因となっている。だから、最近はご飯の量を減らしたり、量を調節しやすい焼き物や、蒸し料理が多い。
調味料も、なるべくスパイスを活かしたものにして、塩分も減らすように工夫している。それでも、なかなか痩せられないのは、間食を止められないことと、忙しくて運動が出来ないことが大きい。
おまけにストレスがたまると、どうしても美味しいもんでお腹を一杯にしたくなる。そうなると、鍋の出番となる。野菜を中心に魚や鶏肉を使うことで、なるべくカロリーは減らしているつもりだが、残さず食べる癖が治らない。これでは痩せられない。
でも、鍋って少量で美味しく作るのは難しい。小さな土鍋を使ったりして工夫してみるが、小さいと肉や魚から出汁が十分出るのに時間がかかる。こうなると、後は圧力鍋か・・・
最近、家に帰る途中に考えることは夕食のことばかりだったりする。これは楽しいような、情けないような微妙な気分。本屋で手に取る本も、料理関係のものが多かったりする。
表題の漫画もその一つ。四コマ漫画ばかり掲載している雑誌に連載されているのだが、四コマ漫画ではない。どちらかといえば、少女マンガの画風なのだが、恋愛ネタはほとんどなく、ひたすら食べる話ばかりである。
ちょっと複雑な家庭で育った大学生の鴨君が主人公なのだが、これが食いしん坊な上に料理上手。アパートの住人は、鴨君が作る料理目当てに集まってきて、毎日騒がしい。
この鴨君、バイトに追われる学生らしく、けっこう貧乏暮らし。だから創意工夫して食事を美味しくしようと努力する。これがけっこう参考になる。以前は素通りしていた漫画なのだが、最近はけっこう熱心に読んでいる。
数ページの短編ばかりなので、気軽に読むのに向いている。気分転換にどうぞ。