ある意味、予想通りなのだが、けっこう悩んでいる。
安倍総理が来月の衆院解散と選挙を決断したようだ。私は衆議院選挙は消費税の二度目(来年の10月予定)前だろうと思っていたので、それほど驚きはしなかった。
選挙の結果は、まず間違いなく自公政権の勝利だと思う。散々野党が騒ぎ立てた政治資金の問題なんざ枝葉末節であり、有権者の関心は大半が景気についてだと思われる。
だからこそ、悩ましい。元々消費税の増税は、どの党が政権につこうが関係なく、財務省の基本方針に過ぎない。事実、民主党政権の時でさえ、消費税増税は既定の路線であった。
今年4月の5%から8%の増税は、間違いなく景気への冷や水となった。如何に日銀が金融緩和しようと、公務員の給与を上げようと、大半の国民の実質的な所得はよくて停滞、むしろ減少なのが実態である。
賃金の上昇は統計的にも事実だが、国民の7割以上を占める中小企業にはあまり見られない。株価と不動産価格(一定の地域限定だが)が上がっているのは確かだが、ガソリン価格、重油、食料品とくに生鮮野菜の値上げ傾向は、庶民の財布を直撃している。
しかも上がったのは消費税だけではない。マスコミは無視していたが、今年9月から社会保険が情け容赦なく上がっている。また子供手当が減額支給のままなのに、扶養控除ははずされたままなので、子供を持つ家庭では実質所得は減少したまま。
慌てた財務省と日銀が、第二の金融緩和を実行したが、反応したのは株式市場だけで景気全体への波及は確認できない。円安の加速を思えば、むしろ悪影響さえ感じられる。
この状況下で消費税増税の判断を下すのは、如何に与党と云えども躊躇わざるを得ない。財務省の意向は来年10月増税あるのみであり、それが分かっている以上、声に出しにくい。
だからこそ選挙が必要となる。幸い野党への風は、まったく吹いていない。いずれ増税するにせよ、有権者の声という名目があれば、財務省の意向に逆らうことだって不可能ではない。
あるいは、有権者の声は一応聴いたとのポーズの下、来年の増税を強行して来年の予算で地元選挙区にお金を流す段取りをつけたいと思う輩もいるだろう。
嫌な予想だが、今回の選挙は消費税増税対策選挙となる気がしている。同時に予測できるのは、来年の景気は今年よりも悪いことだ。本当に嫌な予想だが、今のところ景気浮揚の予兆すらないのが現実だ。むしろ悪材料ばかり。
だからこその年内選挙ではないのか。このところ滞りがちの国会運営も、選挙という禊が済めば上手くいくはずだ。
そんな自民党幹部のほくそ笑みが聞こえてくるみたいで、すごく嫌。でも、野党は自民党以上に情けなく、頼りにならない。政治に期待できないのは、民主主義の国の有権者としては忸怩たるものがある。
政治が当てにならない以上、一市民として出来ることを必死でやるしかないですね。