イタリアはセリエAのACミランのサイドバックである長友を剛とするなら、ドイツはブンデスリーガーのシャルケのサイドバックである内田は柔だと思う。。
選手としての評価は、少し前まで長友のほうが上であった。陽気なイタリア人気質に馴染むのも早く、そのぶっきらぼうなイタリア語はミラン・サポーターからも辛口のイタリア人記者からも好まれた。
もちろん選手としては、無尽蔵のスタミナでピッチ上を駆けまわり、時には大胆に攻撃に参加してチームの勝利に貢献した。身長は低いが、体幹が強く、屈強なイタリア人選手の懐に潜り込んでボールを奪取する能力は一流である。
そのアグレッシブなプレーはイタリア人好みでもあり、駆け上がって急激にターンしてマークを振り切ってのセンタリングはミランの攻撃パターンの一つとなっている。キャプテン・マークを付けることもあり、三浦和も名波も中田英もできなかったほどにチームに打ち解けた。
しかし、ここ最近は怪我の影響もあり、またそのプレーぶりを分析されつくされたせいか、いささか陰りがみえる。はっきりいえば、イタリアのサッカーメディアからは酷評されている。
一方、急速に評価を挙げているのがシャルケの内田である。率直に言って体の強い選手ではない。小柄であり細身でさえある。たた、攻守の判断が良く、素早さを利してのディフェンスには、アントラーズ時代から定評があった。
それは磨きがかかり、ブンデスリーグきっての右サイドバックとして評価を高めている。ドイツに来た当初は、大柄なドイツの選手に跳ね飛ばされていたが、身体の使い方を工夫し、素早い判断と的確なプレーでチーム内外の評価と信頼を高めることに成功している。
今やチームに不可欠な存在となり、来年一月の日本代表への招集を監督もチームのGMも拒否すると伝えられている。
現在の日本代表では、サイドバックは激戦区でもある。だが実績で長友と内田が頭一つ抜け出ている。そこを若手の酒井高と酒井宏が追うが、この二人ともブンデスリーガで活躍している。そこを国内組の若手が追い上げる状況となっている。
20年前のドーハの悲劇は、サイドバックの人材が不足していたことが、大きな要因であった。それが今では、どの選手を選ぶかに迷う時代となっている。
マスコミは連覇などと軽く口にするが、アジア杯は簡単に連覇を許されるほど生易しい大会ではない。怪我の長友も、チームが許しそうもない内田も参加が危ぶまれる以上、その隙をついて若手の躍進を期待したいと思います。