ヌマンタの書斎

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皮肉な余波

2017-03-08 12:09:00 | 社会・政治・一般

皮肉なことに、トランプ・アメリカ新大統領の出現が、シナの習政権を生き延びさせた。

現在、シナでは日本の国会にあたる全人代が開催されている。そこで目立つのは、習主席に対する忠誠心の表明と、経済の安定を求める声明である。ここから分かることがある。

まず第一に、習主席が江沢民ら反対派に対して強硬な姿勢を崩しておらず、内心はどうであれ保身のために忠誠を宣言しているであろうことだ。見方を変えれば、習主席は議員たちが公の場で自分への忠誠を表明しなければ不安になるほどに、自分の権力基盤に不信を感じているのだろう。

もう一つは、わざわざ経済の安定を求めると繰り返さねばならぬほど、国内経済が不安定であることだろう。世界の下請け工場として、大きく経済躍進を遂げたシナではあるが、未だ自立した国内市場の構築には至っていない。

つまり、輸出志向の極めて強い経済であり、海外情勢の影響を受けやすい。更には国内における需要と供給のアンバランスが顕著であり、特定の分野、特に不動産市場に偏りがちだ。そのために、せっかく建てられても、入居者がおらずゴーストタウン化した都市が目立つ。

結果として無駄な投資となり、国内における投資が有効ではないことから、ますます海外志向が高まる始末である。シナの歴史を学べば、歴代の王朝が倒れる前後には、必ずといっていいほど飢饉などから生じた農民の反乱と、巨大な被災民の移動が生じている。

シナにとって、国内経済の落ち込みは死活問題である。14億の民を喰わせねばならず、それを怠れば歴代の衰退した王朝の例に倣うことぐらは承知しているからだ。

この危機的な状況にあって、救いの主は意外なところから現れた。すなわちアメリカのトランプ新大統領である。グローバリズムの名のもとに、アメリカの中産階級を切捨て、シナなど人件費の安い国に下請けをさせたが故に、この20年近くアメリカ政府はシナに寛大であった。

しかし、切り捨てられた中産階級らの支持により大統領になったトランプは違う。明らかにシナに対して強硬な姿勢をみせている。この恐るべき敵の存在が、習主席を救った。

国内経済の低迷は、シナ各地に反習政権の機運を作った。しかし、トランプのアメリカという脅威が、団結せざる得ない状況を作り出した。今年の秋には、共産党大会が予定されている。それまでに権力基盤の再構築を模索する習主席にとって、トランプは救いとなったのだから実に皮肉なものである。

コメント
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