ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

朝鮮半島のきな臭さ

2017-03-16 14:04:00 | 社会・政治・一般

「世界の人々が北朝鮮に関心がないことに驚きました。我々は共和国政府こそが、世界の中心的存在であると信じていましたから」

北朝鮮から脱出した人がBBCの記者との会話のなかで、一番驚かされた科白が冒頭の言である。ちなみに、この脱出者はエリートではなく、普通の労働者であり、某国で出稼ぎ労働をしていた時に、機を伺って逃亡した。いわゆる、北朝鮮の一般大衆だと考えてイイと思う。

実際のところ、世界中どの国、どの町、どこの村でも自分たちを中心に情報を判断するのは普通のこと。多分、アマゾン奥地のインディオに訊いたって、あるいはオーストラリア中央部のアボリジニに訊いたって、似たようなものかもしれない。

ただ、判断は自分基準であっても、自分たちが世界の中心的存在だとは考えないと思う。これこそが、北朝鮮政府が長年国民を教育(というか、洗脳)してきた成果であり、独裁国家として確固たる基盤が成立していることの証だと云える。

断言できるが、北朝鮮が国民の蜂起により潰れることは、絶対にないと思う。そのくらい停滞した社会であり、民主主義はおろか、近代的な市民意識など存在しない。あるのは、小中華としての中世以来変わらぬ頑固な意識であろう。

このところ、アメリカが北に戦争を仕掛けるとか、シナが先制攻撃なんて話もあるが、私はどちらもないと思っている。また、北朝鮮自体が、アメリカや日本、シナ、南コリアに戦争を仕掛ける可能性も、0ではないが、極めて低いと考える。

この極東の半島国家には、近代的戦争を仕掛ける体力がない。如何に戦意があろうと、現実には食料と金がなくては戦争は出来ない。また、核ミサイルをもっていようと、いまいとそれだけでは戦争には勝てない。

それが分からぬほど馬鹿ではない。むしろ狡猾な知恵を絞って、なんとか21世紀を生き延びようと画策しているのが実情だ。ここしばらくの、ミサイル騒動や、暗殺騒動は、全てその危機感から来てる。

彼ら金王朝の指導者たちは、自分たちの安寧を求めている。貧しい国民のことなんて考えてはいない。全ては自分たちの王侯暮らしが維持できればいい、そう考えている。

北が核ミサイルを誇示するのは、攻撃よりも防衛の意識からである。友邦をまったく持たぬ北の最大の脅威は、まぎれもなく領土的野心を隠し持つ共産シナである。断言しても良いが、あのミサイルは日本海や太平洋に向かって試射されているが、本当の目標はシナだと思う。

そして、軍事的危機感を強くアピールするのは、その軍事的危機がないと国内を掌握できないからだ。これは南コリアにも同様な傾向があるのだが、敵(おおむね日本)がいないと、国民は団結しない。

彼らコリアの民は、極めて自己愛というか、民族愛が深いが、実は国家に対する感情は薄い。だから平然と国を捨てて、海外での暮らしを求める。コリア民族としての自尊心は高いが、国家に対する忠誠心は驚くほど低い。

国内を政府がまとめるために必要なのは、世界平和ではなく、戦争の危機感である。平和ボケした日本人には理解しがたいだろうが、誇るべき歴史を持たぬコリアの民をまとめるには、どうしても危機感が必要となる。

つまり見方を変えると、ここ最近の北朝鮮の軍事的挑発や、暗殺事件は、金王朝が国内統治を不安に思っていることの裏返しである。そのあたりを冷静に捉えれば、隣国の日本として、どう対応するべきか分かると思います。

軍事力の増強は必要だけど、私としては有事法制の整備や、現実的な情報機関の構築など、ソフト面での強化を願いたいものです。

コメント (3)
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