ヌマンタの書斎

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プロレスってさ 獣神サンダーライガー

2019-06-05 13:06:00 | スポーツ

ジュニア・ヘビー級がジャンルとして確立させた最大の功労者ではないかと思うのが、獣神サンダーライガーだ。

本来、小柄な日本人にとってヘビー級は狭き門であった。背が高いだけでもダメ、体重が重いだけでもダメ。背が高く、骨太で体格が良く、なおかつ筋肉と脂肪のバランスがとれていて初めて及第点。

その上、なにかの格闘技の経験があれば良いが、最低でもスポーツ選手として世界大会レベルの実績が欲しい。なおかつ、プロレスを格闘技としてではなく、格闘演劇として理解したうえで、観客を盛り上げる演技力が必要となる。

なかでも最大の難関は身長である。ヘビー級を名乗る以上、最低でも185センチは欲しい。プロレスは観客から見られることが前提なので、見栄えとしてどうしても身長が必要となる。

対戦相手である外国の大型ヘビー級レスラーと対戦する以上、どうしても身長だけは必要だった。体重と筋肉は道場での鍛錬である程度なんとかなるが、身長だけはどうしようもない関門であった。

レスリングが身近な格闘技として定着している欧米だと、階級分けは当然であり、プロレスにもヘビー級の下の階級を設けていることは普通だった。でも、どうしても大男たちのプロレスの方が映像的な迫力がある。

だからメインはヘビー級となるが、レスリングのテクニックを競うようなジュニア・ヘビー級にも一定の支持はあった。だが、興業成績の点で、どうしてもヘビー級ほどの業績は上がらなかった。

それは日本でも同様であった。ジュニアヘビー級はヘビー級の前座、それが常識であった。

それを覆そうと奮闘したのが藤波辰巳であったが、彼は猪木の後継を目指してヘビー級に転向してしまった。本当の意味でジュニア・ヘビー級を世間に知らしめたのは、タイガーマスク(佐山明)であった。

だが、格闘技志向の強い佐山は、新日本を離れ、UWFへ移り、そこでプロレスを見切る形で格闘技の世界へ転出してしまった。ジュニア・ヘビー級のスター選手が次々といなくなる中、一人残って奮闘したのが獣神ライガーと名乗った山田恵一である。

元々、新日本プロレスの若手レスラーの一人で、その思い切りの良いファイトぶりで前座では有名な選手であった。そこに、永井豪の覆面レスラー漫画の実現といった形でマスクマンとして登場することになる。

もっとも、いくら全身タイツとマスクで隠しても、その体型からファンには山田であることがバレバレであった。山田選手は、いわゆる小顔ながら、上半身は見事にビルドアップされた逆三角形の筋肉モリモリの独特な体型で知られていたからだ。

実際、プロレスラーとしては低い身長(170㎝)ながら、その鍛えられた筋肉から繰り出すパワーはヘビー級並であり、しかも動きは俊敏であり、技も切れる。おまけに闘争心溢れるガッツマンである。

だが、今にして思うのだが、彼の最大の強みは、その人間力ではなかっただろうか。唯我独尊の変わり者が少なくないプロレスラーの中にあって、彼は常識人であり、コミュニケーション能力が高かった。

それゆえに、団体を超えてのジュニアヘビー級の交流戦が可能となった。また格闘技志向の強い旧UWF勢でも、鈴木みのるのようにプロレスに戻ってきた選手は、ライガー(山田)の実力は認めている。

ライガーは、正体が山田恵一だとバレていても、あくまで覆面レスラーでいることに拘った。プロレスのお約束ごとに忠実であった。その真摯な姿勢が、ジュニアヘビー級の盛況につながったと私はみている。

そのライガーも来年で現役引退であるそうだ。時期が時期なので、多分観に行けないけど、きっと最後までプロレスラーとして盛り上げてくれると思います。

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