壁新聞というものをご存じだろうか。
日本でも学生運動が華やかな時代には、大学校舎の壁に様々な団体がその政治的な主張を紙に書いて、学生新聞として貼りだしアピールしていたものだ。
これは世界各地で同じようなことが行われていた。なかでも悪名高いのが共産シナの「北京の春」であろう。カコクホウが実権を握る北京政府のおひざ元で、街の一角に壁新聞が張られて、市民たちの注目を集めたことがある。
大学教授や学生などエリートたちが、自由闊達に自らの意見を張り出した壁新聞は、西側社会でも注目された。なかでも日本のマスコミは、北京の壁新聞こそ、自由と民主の最先端であると絶賛したものである。
たしかに自由な意見が多かった。モウタクトウ批判から文化大革命批判まで従来では考えられぬ主張が日の目を浴びているのだから、これは驚き以外の何物でもなかった。
だが、これは仕組まれたものであった。政権の座を追われたトウショウヘイは、この壁新聞を利用して反政府的な人間を見つけ出し、政権批判を許す政府の落ち度として、カコクホウを政権の座から追いやった。
そして反政府的言論を弄するエリートたちを投獄して権力の座を確保した。なんてことはない。自由な言論とは、政府が反政府的な人間を見つけ出す為のエサに過ぎなかった。もっといえば、トウショウヘイの復権のための手段でしかなかった。
これはさすがに根強い反発を産み、やがて天安門事件へとつながる。そして、その結果は全国規模の弾圧である。
さて、この二週間ほど香港では、「逃亡犯条例」に対しての反対デモが騒がしかった。どうやら、今回は先送りになりそうな感じであり、軽薄な日本のマスコミがこれを自由と民主主義の勝利だと浮かれているようだ。
馬鹿なの?
遅かれ早かれ、香港は共産シナの統治下におかれる。今、北京政府が求めていることは情報である。すなわち反政府的な傾向のある人間の情報である。今回のデモは、間違いなくその情報収集に活用される。それが独裁政権といったものである。
私がもし、今回のデモに参加していたのなら、早晩国外に脱出することを第一に考えますね。今回の騒動は、自由と民主主義の勝利ではなく、終焉の始まりだと理解するべきです。
まァ平和ボケした日本人には、なかなか理解しがたいと思いますけどね。