ロシアW杯大会を最後に日本代表から引退したドイツ・ブンデスリーグの強豪フランクフルトに所属する長谷部誠が、2018-2019シーズンのベストイレブンに選出されました。しかもセンターバックとしての評価です。これにはビックリしました。
長谷部選手は身長180㎝と日本人としては大柄ですが、欧州とりわけ巨漢選手がゴール前に立ちふさがるブンデスリーグでは、決して大きいとは言えない。にもかかわらず、ディフェンダーとしてだけでなく、センターバックとしてドイツの選手、コーチ、マスコミからも高い評価を受けているのですから、本当に大したものだと思います。
ちなみに日本代表では、当初はトップ下、後にボランチのポジションに移り、三大会に渡り活躍してきました。リーダーシップも高く、そのクレバーな球さばきで、チームを支えてきました。DFラインに入ることも多かったのですが、決してDF専門の選手ではありませんでした。
ドイツでは、ヴォルクスブルク、フランクフルトいずれのチームでも様々なポジションをやっていましたが、最終的にはリベロというか、ディフェンスの選手として活躍していました。あのベッケンバウアーが、理想的なリベロとして長谷部を取り上げたこともあるぐらいですから、本当に現地で認められていたのだと思います。私としては感慨深いものがあります。
長年サッカーを観てきましたが、私の悩みは日本人選手の身体の小ささでした。190㎝台から2メートル近い大男たちが守備に身体を張るサッカーの世界です。せいぜい180㎝台が精一杯の日本に、世界に通じるディフェンダーは育つのか。
実際、日本サッカーが低迷していた70年代、80年代は、欧州や南米といったサッカー先進国はともかく、日本と同レベルなはずのアジアにおいてさえ、日本選手の小ささはハンデにしか思えなかったのです。
日本代表を率いてきた外国人監督には、二通りの選手選考がありました。一つは日本人の中から出来るだけ長身で大柄な選手を選ぶこと。柱谷哲二や井原、中沢、闘莉王、大岩、吉田などがその代表でしょう。
もう一つの考えは、日本人の体格、特性にあった選手で守ることでした。宮本、森岡、田中誠、中田浩二など素早さと読みの確かさ、パス出しの上手さなどが特徴でした。
私見ですが、前者だと物足りなく、後者では力不足を感じることが多く、これが私の長年の不満であったのです。そんな中で、ディフェンダーとしては小柄な長谷部が、ドイツで本格的な守備の選手として評価を受けてきたのです。
現在の日本代表では吉田が中心となっていますが、そう遠からぬうちに冨安や植田、遠藤航といった若手がそのポジションを占めることになると予測しています。いずれも180㎝台の体格ですが、既に欧州リーグで活躍している実績を持っています。
身長の面では物足りなさを感じますが、足元の技量は確かだし、身体の強さもある。後は経験値と思考力でしょう。Jリーグが始まって20年余、ようやく世界に通じるDFの形が見えてきたことが嬉しいですね。