もしかしたら中曽根首相以来の外交上手な首相として名を残すかもしれない。
先週のことだが、安倍首相がイランを訪問している。外交交渉の多くは機密事項なので、そのすべてが明らかになるはずはないが、多くの識者が指摘しているように、アメリカのトランプ首相の意を受けてのイラン訪問であろう。
もちろんイランがアメリカの意向に沿う訳もなく、外交的な成果はまったくなしである。おまけにホルムズ海峡でのタンカー攻撃事件もあり、安倍外交の失敗だと誹謗する意見も散見する。
だが、私の見かたは違う。そもそもアメリカの意を受けてのイラン訪問となると、アメリカが安倍首相を相当に信頼していることの証である。私は日本の安全保障、すなわち平和が維持されるかどうかは、アメリカとの関係次第だと考えている。
だが首相がコロコロと変わる日本は、なかなかアメリカからの信頼を得られずにいた。数少ない例外が、中曽根首相であった。どうやら安倍首相の同列に考えて良さそうだ。
また、トランプの替わりだと知りながらも、イランは安倍首相を受け入れている。しかも首相に対応させただけでなく、最高指導者のハメネイ師との会談まで用意している。これはイラン外交では最高レベルの対応である。ちなみに安倍首相はかなりの歓待を受けているのだが、何故だが日本のマスコミは報じていない。
目に見える成果こそなかったが、日本がイランとアメリカとの橋渡し役を双方から認められた証でもある。今の段階で失敗云々を口にするのは早過ぎると思う。このような仲介役は、普段ならイギリスとかフランス、あるいは北欧の国が担う事が多い。決してどの国でも気軽に出来ることではない。
なおタンカーへの攻撃が、今回の日本とイランの会談に水を差す目的であったか、どうかは分からない。あの地域の不安定さは、そう簡単に紐解けるものではないからだ。
現在、ホルムズ海峡の奥の海では、サウジとカタールが争い、イランとイラクが不穏であり、ソマリアも怪しい。何があってもおかしくない海域である。
安倍首相が日本の憲政史上、指折りの外交上手であることは確かなように思うのです。ただなァ~、外交ばかりに力を入れず、内政とくに経済に力を入れて欲しい。アベノミクスに対する評価は、現時点では55点。落第ではないけれど、合格点は上げたくないのが私の率直なところですから。