割と失言が多いとされる麻生・大臣だけど、これは失言ではないと思う。
失言ではないけれど、失言よりも性質が悪い。老後の生活資金である国民年金では不足なので、預貯金を2千万円必要であると、実に正直に述べておられる。
安倍首相に負けず劣らずの富裕層のご出身である麻生氏には、2千万円の預貯金はさほど多いとは感じていないことが良く分かる発言である。
日本人は貯金好きな国民だとされているが、それはその人の育ち方、働き方、考え方などによりかなり差異がある。また本人に責任なくても、時代の流れの中で大きく資産を減らした方は少なくない。
特に日本人は土地を価値の減らない資産だと考えていたので、バブルの崩壊により大きく資産を減らした方は珍しくない。また東日本大震災の際の放射能事故により、時価数億円の不動産が、あっという間にその価値を大きく減らし、相続税の心配がなくなってしまった資産家も実在する。
元々、麻生氏の発言は、金融庁の作成した書類が元ネタであり、要は国民年金が老後の生活の柱とはなれない残酷な現実を国民に暴露したものである。
おそらくだけど、金融庁としては、消費税増税に向けて国家財政の不安ぶりをアピールしたかったのではないかと思う。霞が関のお役人様だと、退職金を含めれば老後の2千万円は、特に問題のない数字に過ぎない。また大企業に長年勤めた方なら、やはりそれほど問題ではない。
しかし、日本の国民の6割以上は、退職金など期待できない中小企業勤務者である。例外はもちろんいるが、大半の家庭では老後の資金2千万円なんて、あまり現実的な数字ではない。
そのことが分かっていないお役人らしい認識が露呈した訳である。そして、その原稿を疑うことなく、素直に読んでしまったのが麻生・大臣であろう。
安倍政権の失態だと批難しているようだが、これは長年国民年金を担当していた厚生労働省及び日本年金機構の問題である。高齢者社会の到来を分かっていながら、税金(消費税)で補填すればいいと無責任なことをやってきた結果である。
安倍政権が下野したところで解決する問題ではない。まァ野党及びマスコミとしては対案あるいは解決策などは考えておらず、ただ、ただ反対すれば良しのお方々なので、騒いでお終いとなるだろう。
国民の一人としては、如何に国民年金があてにならないかを確認できたことが、今回の騒ぎの成果ですかねぇ。さりとて、年金積立の代わりに株式投資はお薦めしかねますけどね。
まァ長生きが期待できない私としては、けっこう醒めた目で、今回の騒動を見ています。