頼むから馬鹿を繰り返すな。
日本サッカー界の最大の欠点は、既成の枠を超えたような天才型の選手を育てることが下手くそなことだ。私が認める過去の成功例は、わずかに3名だけ。
まずは小野伸二、中学生の頃から、そのプレーは異次元。あの膝の怪我さえなければと、どれほど悔やんだことか。そして中田英寿と中村俊輔。ただ、この後者二人は努力の人であり、天才的ではあったが、周囲の意見を聞かない人であったがゆえに成功したと私は思っている。
天才肌の選手なら他にもいた。名波や久保竜彦なんて、見て真似できる選手じゃない。第一、名波は正統派の選手で奇をてらうようなタイプではない。天才的ではあったが、どちらかと云えば秀才型、努力型だ。
そこそこ優秀な選手ならば、他にも幾人もいたし、その育成の功績を認めることには吝かではない。
しかし、失敗例が非常に多い。本当に多い。長年サッカーを見続けてきた私は、それが悔しくてならない。
古くは読売クラブの天才・菊原司郎。Jリーグには間に合ったが、大成することなく引退している。帝京出身の磯貝も凄かった。私は国士館大学の選手であった頃の磯貝を見たことがあるが、一人だけ異次元でプレーしていた。
他にも和製フリットの異名をもった石原や、中田も認めた天才児・財前、怪我さえなければ怪物だった小倉隆史など、過去に優秀な選手は幾人もいた。彼らが成功できなかった理由の一つは、日本のサッカー指導者の力量不足。これは近年、だいぶ改善が進んでいる。
そして、私が今でも不愉快に思っているのが、スポーツ・マスコミのレベルの低さというか、低俗さ。これはJリーグ以前、高校サッカー全盛の頃から変わっていない。
ちょっと凄い選手が出てくると、すぐにスター扱いをして紙面を飾らせる。これに呼応してサッカーの中味ではなく、券\人的な感覚で持てはやす映像メディア。こうなると、必ず湧いて出てくる軽薄な女性ファン。
若くて体力、精力に満ち溢れた若者に、この誘惑は辛い。気が付くと、引き締まった身体は弛み、スター気分の傲慢さが顔を覗かせて、チームメイトから嫌われる。
本来、一番厳しく鍛えなければならない時機に、スター選手としてちやほやされて堕落する。商業マスコミが、紙面を飾る目玉となるスポーツ選手を欲するのは理解できるが、それに乗せられる選手が馬鹿だ。
馬鹿だと思ってきたけど、金と女の誘惑に耐えるには、強固な自制心が必要となる。やはり20代の若者には辛すぎる試練である。それと知りつつ、相変わらず未熟な若手を持ち上げて紙面を作っているのが、スポーツ・マスコミである。
今、日本の若手サッカー選手で最も光り輝いているのが、久保建英である。頼むから、この異才を潰さないで欲しい。スター候補ではあるが、まだまだ成長が必要な若手である。
10歳でスペインの名門バルセロナの年少部に入り、その才能を認められながら、法規制の変更によりトップデビューを果たせず、止む無く日本に戻り、FC東京でその才能の輝きを披露した期待の若手である。
紙面を飾りたいマスコミの甘言に騙されずに、素直にこのまま育って欲しいものである。
追記(6/15) なんと久保選手、バルセロナのライバルであるレアル・マドリッドへの移籍が決まった模様。バルサでないことは少し残念だが、レアルで揉まれて更なる成長をして欲しいものです。