ヌマンタの書斎

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ディープブルー2

2020-01-17 12:13:00 | 映画

二作目に傑作なしは、けっこう合っていると思う。

1999年に公開された「ディープ・ブルー」はサメ映画としてはTOP3入りと評しても良い傑作であった。その後十数年たって公開されたのが続編としての表題の作品である。

CS放送で観たのだが、残念ながら一作目には遠く及ばない。以下、すごい偏見なので、半分目を閉じて読んで欲しい。

まず、サメ映画の冒頭はビキニの美女と、軟派な青年がサメに襲われなければいけない。これ、JAWS以来の大原則である。それなのに、髭もじゃの中年男性の密漁者を冒頭にもってくるなんて、サメ映画の原則を分かっていない。

次に、せっかくの連隊を組んで襲ってくる5匹のサメたちをもってきながら、結局描かれるのは女ボスの巨大サメだけである。残り4匹の存在価値はどこいった。

その雌サメから産まれた殺人子供サメのアイディアは良いのだが、画像がショボイのかピラニアのほうが迫力あるように思えてならない。けっこう残酷な場面を描きながら、それが中途半端なのはR指定を嫌った営業的配慮が感じられる。そんなんで、サメ映画を撮るとは言語道断である。

一作目も同様なのだが、今回も知性を向上させられた巨大サメが人間どもを追い込んでいくのだが、その追い込み方に知性が感じられない。水槽の硝子窓から、人間たちの様子を覗くサメの無表情な黒い目線は、なんのための演出なのか疑ってしまう。

はっきり言いますと、パニック映画としてはB級マイナス。サメの迫力に免じてC級は勘弁してあげますけど、あの程度の内容で3作目を匂わすエンディングは噴飯もの。あれがなければ、マイナスはなかったのにね。

一応書いておくと、一作目の公開時である1999年と現在では、サメに対する理解度がまるで違う。海の生態系におけるサメの役割と存在価値が認識されているが故に、サメのヒレだけを切り取って海に放棄する中国漁船に対する厳しい目線が描かれていたら、私はもう少し評価していた。

実際、私ががっかりした冒頭の髭もじゃ中年密漁者ですけど、サメの攻撃で船から転落した後、サメたちは男性の手足を噛み切って放置。泳ぐことも出来ずに絶望の表情で海底に沈んでいく描写は、まさしくフカヒレ目当てのサメ狩りと同じ構図の意趣返し。

映画製作者は一応、現在のサメが虐殺されていることを知っているのです。そして、その切り取られたフカヒレの大半が中国に輸出されていることもね。まァ一部は日本にも輸出されています。ヒレを切り取られて、泳げなくなったサメは海に落されて、そのまま海底に沈んでいく。

何故だかあまり日本では報道されないフカヒレ目当てのサメ漁業の残酷な現実。だから、ビキニ美女が出ないことに不満を抱きつつ、あたしゃ当初期待したのですよ、この映画に。

しかし、現在シナの映画市場は世界有数の巨大マーケットであるだけに、そのあたりの事情を反映させないシナリオにうんざりだ。その癖、R指定を避けるような根性のない映画作りがとても不愉快。

傑作であった一作目から19年、まさかこんな駄作が作られようとは思わなかったゾ。

コメント
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