多分、隣の半島国家で厄介な事態が持ち上がるのではないかと思っています。
私は現在の南コリアの大統領は、日本人のコリア理解に大きく貢献した人だと評価しています。歴代の大統領も反日をもって政治権力を維持してきたのですが、この人ほど素直にコリアの本音を明らかにする人はいなかったので、その意味で有益な人物です。
ただ、やり過ぎる可能性が出てきた。
言うまでもなく、南コリアは西側社会の国です。資本主義と市場社会、議会制民主主義と開かれた社会を基盤にしているはずです。そのことに対する理解が、どうもかなり違うらしいのがコリアの特徴です。
現在、南コリアの政府の主張は、国際的にはほとんど理解されていない。そのことに対する不満が、ある種の先祖がえりを呼び起こす可能性があることを指摘しておきたいと思います。
今から八百年ほど昔のことです。朝鮮半島は高麗という国が支配していました。宗主国であるシナは、宋王朝の時代です。文化的には華やかな王朝でしたが、軍事的には弱かったため、遼という北方民族の侵略に苦しんでいました。
そこへ新たに現れたのが、金という新興の騎馬民族です。あっという間に遼を滅ぼし、宋王朝自体も南方に避難する羽目に陥りました。シナの帝国の首都が南方に移った最初の事例となりました。なにせ皇帝とその家族が拉致される有り様です。
この醜態が、後々コリアの支配階級の心理に大きな影響を与えます。
南に移転して新皇帝を打ち立てたシナを南宋と呼びます。だが本当の危機は、その後に訪れます。北方から新たな騎馬民族が襲ってきたのです。それがモンゴルでした。英雄ジンギス汗が興した勇猛な軍団でした。当時、ユーラシア大陸最強の軍事組織であったと思います。
金も精強な軍団でしたが、モンゴルには及ばず、あっという間に滅ぼされ、一部は西方に逃走しています。この金の滅亡には、高麗も協力しており、その功績故に高麗は、モンゴルからかなり優遇されることになりました。
その後、南宋もモンゴルに滅ぼされ、シナの地は元と称されるモンゴルの地方政権に支配されることになります。もっともコリアとの関係は従来通り、宗主国である元と、朝貢国である高麗であることに変りはありません。
しかし、コリアの支配階級の間では、新たな火種が産まれていました。シナ(宋)が蛮族(モンゴル)に滅ぼされたのだから、真の中華(世界の中心)は、我がコリアではないかとの思いが、高麗の王族たちに生じてしまったのです。
蛮族であるモンゴルが宗主国面をすることは許せない。そう考えたようで、なんと高麗に駐在していたモンゴルの高官を全員殺してしまいました。怒ったモンゴルと戦争になり、計6回も戦い、和睦し、再び問題を起こして再戦を繰り返してきました。
いくら和睦しても、その約束を守らない高麗に呆れたモンゴルは、遂には高麗を滅ぼし直轄領にしてしまったのです。
当時、世界最強であったモンゴルに逆らい、30年近くも戦い抜いたのは凄いと思いますが、反面モンゴルを敵に回すその根拠には疑問を持たざるを得ません。中華思想なんて自己満足に過ぎず、極東の小さな半島国家が掲げるなんて無意味だと思います。
しかし、当時のコリアの人々は、それが理解できず、挙句にモンゴルに喧嘩を売って無様に散ってしまった。本来は恵まれた朝貢国の立場にあった訳ですから、その優遇された地位を捨てるほどに、その傲慢さは肥大していたのでしょう。
日本もまたモンゴルの侵略に抗した国ですが、海に守られた有利な状況を自覚し、決して大陸や半島には手を出さず、モンゴルが引くのを待つ賢明さがあった。また南宋の亡命者などから情報を得て、事後策を練るなど対応には万全を期そうとした。
しかし、高麗の王族たちには、そのような現実的な考えはなく、ただ単に自分たちこそ中華なのだから、蛮族に屈する必要はないと決めつけるだけであった。その結果が国の滅亡であった。
それから800年余、今の南コリアの政府は、自分たちの考えを西側社会が受け入れないと不満を抱いている。シナやロシアに守ってもらえば良いなどと、政府高官が発言するほどの傲慢ぶりである。
どうも、今も昔も自らを客観視することが出来ない。このままだと、本気で西側陣営からの離脱を宣言しかねないと思うのです。困ったことに、コリアにはもう一つ厄介な性向があります。
それが二つの大勢力の間に立って、パワーバランサーであると称する悪癖です。バランサー(仲介者)であるためには、双方から認められた実力(多くの場合、軍事力)が必要ですが、それがない癖に仲介者面したがるのです。
私見ですが、バランサーを気取るのは、自身の惨めな境遇を認めたくないが故の虚栄心だと思います。昨年の38度線を徒歩で超えた米朝会談がその典型事例です。
仲介者面したがる大統領を尻目に、トランプと刈り上げデブ君は彼を無視して会談していたことはマスコミ等が暴露しているとおりです。それでも、めげないのが不思議ですが、歴史的な性向なので客観的に自らを省みることがないのでしょう。
別に南コリアが東側に回るのは構いませんが、少なくても経済面では大きなマイナスなのは確かでしょう。困るのは日本が最前線になってしまうことです。そうなると、平和憲法なんて全く無意味なものになります。事なかれ平和主義者が多い日本です。
多分、この危機も見ない、聞かない、気づかないふりで誤魔化すでしょう。最前線基地がそれでは困ります。本気でアメリカが外圧(憲法を改正しろ!)をかけてきそうな気がします。
どうする?ニッポン