ヌマンタの書斎

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プロレスってさ ジャンボ鶴田に想う

2006-10-25 09:35:29 | スポーツ
久々にプロレス話。

昨年、腎臓移植手術の失敗からフィリピンで死去されたジャンボ鶴田。私の知る限り、「全日本プロレスに入社しました」との発言にみられるように、プロレスに就職したサラリーマン・レスラー第一号です。

いや、給与を貰っているプロレスラーは当たり前に沢山いました。でも、サラリーマン意識を持ったプロレスラーはジャンボ鶴田が初めてだと思います。

日本人離れした巨体と、恵まれた運動神経、底なしのスタミナは驚異的で、プロレス・ファンの間では、本気になったら一番強いと噂された人でもありました。その強さは対戦した外人レスラーたちがよく分かっていたようです。超獣ブロディーなどは鶴田との試合を評して「なかなか抜けない奥歯を引っこ抜かれるような試合だ」と嘆息していたぐらいです。

潜在的な運動能力なら、間違いなく日本人レスラーのトップでしょう。ただし、プロレスの試合でその能力を100%出したことはないと断言できます。なにより、引退後の鶴田本人がそう証言しているくらいです。でも、そのことはプロレス・ファンなら皆が知っていることでした。

正直言えば、ジャンボ鶴田の試合はあまり面白くなかった。演技力の問題ではなく、鶴田が全力でないことが、なんとなく見ている人に伝わってしまう試合だったのです。「サイクロン・ホイップ」とう投げ技があります。柔道で言う「巻き投げ」ですが、鶴田はそれをジャンプしながら空中で相手を投げ飛ばせることが出来ました。ジュニア・ヘビー級ならいざしらず、ヘビー級のレスラーでこの技が出来たのは私の知る限りウィルバー・スナイダーくらいでした。卓越した運動能力の持ち主であったことは間違いないでしょう。まあ、投げられる相手の受身の実力も必要な技でもありますがね。

猪木の新日本プロレスから長州らが離脱して、全日本プロレスへ参戦した時も、鶴田の姿勢は変わりませんでした。向かってくる長州力を「なんで、そんなにむきになるの?」とでも言いたげに、素っ気無く戦う姿勢には、がっかりしたものです。実力差といえば、そうなのでしょうが、ファンとしては物足りなかった。

その時、長州らに対して熱く戦う姿勢をみせたのが天龍でした。その後、天龍は同門であるジャンボ鶴田に牙を向き、そこで初めて本気のジャンボ鶴田の一片を見ることが出来ました。鶴田vs天龍の試合は、まことに見応えのある舞台でした。相撲で鍛えられた天龍は、無類の打たれ強さを誇っていましたから、鶴田の技を見事に受けてみせたのです。

しかし、次第にエスカレートしていくうちに、つい鶴田は受身の取りづらい技をかけてしまい、天龍は負傷退場を止む無くされました。私見ですが、鶴田はそれ以降、技のレベルを落としていた印象が強いです。

その後、内臓疾患で鶴田はセミ・リタイヤを止む無くされた時、一部のプロレスラーから密かに喝采が送られたと聞いています。そりゃそうでしょう。あんな化け物がトップにいたら、いつまでも前座レスラーから這い上がれない。それほどまでに、突出した能力の持ち主でした。

彼がナンバーワンになれなかったのは、実力の問題ではなく、意識の問題であったと思います。馬場ほどプロレスへの思い入れ(愛情?)はなかったし、猪木ほどの野望(虚栄心?)もなかった。ただ、与えられたポジションに安住してしまった安易さが、ジャンボ鶴田の欠点でした。

更に言うなら、彼は優れたアスリート(運動選手)ではあったが、決して武道家ではなかった。おそらく、格闘技への関心は薄かったと思います。現在に至るまで、日本人プロレスラーで体のサイズなら鶴田に匹敵する選手は幾人か出ていますが、鶴田ほどの運動能力に長けた日本人プロレスラーは皆無です。そのことは、はやり残念に思わざる得ないのです。
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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あかひで)
2006-10-25 12:12:59
こんにちは
 
こちらでは初めましてm(_ _)m
 
ジャンボ鶴田最強説はプロレスファンの間では長年語られてきた伝説のようなものですね。
イノキ信者が言う「最強」とはまた別物のなんというか単に勝つだけでなく、打たれ強さとかそういうものも含めたプロレスラーとしての「最強」ですね。
私的には相手の力を引き出す面がやや欠けてた感がありますが・・・
まぁ私は全日派じゃ無かったんで発言は控えておいた方が無難かな。(笑)
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Unknown (ヌマンタ)
2006-10-25 20:52:47
改めて、こんにちは、あかひでさん。うつぼねさんのところで、興味深い議論をされていましたね。かねてより、日本史に対する造詣の深さに感服していました。

余談ですが、私本来は新日派です。いや猪木派というべきか。あの演技力、扇動力に乗せられていた口です。あれはあれで楽しかった~♪
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Unknown (Nishitatsu1234)
2006-10-26 18:48:43
http://diary.jp.aol.com/bbs/154993731/13048.htm

http://diary.jp.aol.com/member/bbs/183220653/15157.htm

↓削除、間違えたので削除おねがいします、たびたびすんません
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Unknown (jin rock)
2006-10-26 19:55:27
今日 大木金太郎氏の 訃報が ありました
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Unknown (ヌマンタ)
2006-10-27 09:42:07
プロレスは、格闘技ではなく、格闘演劇だというのが私の持論です。要は興行なのだから、観客を楽しませてくれればOK~♪

大木金太郎ですか・・・ブッチャーとの頭突き合戦が記憶に残っています。ゴッツンという頭蓋骨のぶつかる音が観客席まで聞こえてくるような、迫力ある試合でしたねえ。合掌です。
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